意識障害に対する評価法とは?効果のある運動療法も併せて解説!

意識障害

硬膜下血腫、脳腫瘍、脳動脈瘤やその他を含む脳手術後の患者、あるいは脳出血、脳梗塞を含む脳卒中などの中枢性疾患の患者は意識障害を伴っている場合がしばしば認められると思います。

意識障害を有している患者は意欲や自覚症状の訴えが乏しく、全身状態などのバイタルサインが不安定であることが多いので、他覚症状を観察しながらこまめなリスク管理をしてリハビリテーションを実施していかなければなりません。

しかし、訴えが乏しいので、「これ以上やっても良いのかどうなのか怖くなり、積極的なリハビリテーションを実施できない。」なんてこともよく耳にします。

今回は意識障害がある患者の診察についてどのようにしていけば良いのか、分かりやすく記載していき、もう少し「攻めたリハビリテーション」ができるようになればと思います。

意識障害のメカニズムとは?

まず、意識をしっかりと保つために大きく関与しているのは一度は聞いたことのある「脳幹網様体」という部分です。

詳しく説明しますと、様々な感覚刺激が脳幹網様体を通っていき、視床下部や視床に到達して、そこから大脳皮質の各部分に感覚刺激が送られることによって、意識は保たれているのです。

これらを合わせて「脳幹網様体賦活系」といわれています。

意識が障害されている、つまり意識を保つことができない状態というのは上記で説明した脳幹網様体賦活系の一部に異常が生じているということなのです。

例えば、脳ヘルニアによる中脳付近の圧迫、下部脳幹の出血や腫瘍では脳幹網様体が障害されたり、頭蓋内圧が亢進すると脳に血液が回らなくなることによる大脳の全体的な機能の低下が生じます。

これらが意識障害の原因となるのです。

頭蓋内圧亢進によって生じた意識障害は内圧が亢進させている要因(腫瘍など)を取り除いてあげると意識は回復しますし、脳幹網様体に直接圧迫が加わり器質的な変化を来してしまうと意識障害の回復が遅延したり、最悪の場合には意識が戻らないこともあり得ます。

意識障害の分類

みなさんは刺激しても無反応である人だけが意識障害があると思ってませんか?

実はそれだけが意識障害だけではなく、それは意識障害の中の一つである意識混濁と言う状態のことを言います。

しかし、意識障害にはもう一つ種類があり、そのことを意識変容と言います。

これは、幻覚や錯乱、混乱などの症状がみられることです。

つまり、意識障害は以下の2つに分けられます。

  • 意識混濁(量的変化)
  • 意識変容(質的変化)

では、それぞれの診察方法についてみていきましょう。

意識混濁の評価方法

メイヨー・クリニックの分類法

意識混濁している中でもさらに4つに分けることができます(様々な意見がある)。

  • 傾眠
    →刺激与えたら起きるけど、与えなかったらすぐ寝てしまう状態のこと。
  • 昏迷
    →強い刺激でないと起きず、起きたら従命運動は可能である状態のこと。
  • 半昏睡
    →強い刺激で逃避反応がみられたりする状態のこと。
  • 昏睡
    →強い刺激でも逃避反応がみられない状態のこと。

定量的評価法

これはみなさんがよく実施する評価方法です。

  • Japan Coma Scale(JCS)
  • Glasgow Coma Scale(GCS)
  • Emergency Coma Scale(ECS)

>> Japan Coma Scale(JCS)

JCS

>> Glasgow Coma Scale(GCS)

GCS

>> Emergency Coma Scale(ECS)

ECS

ECSはあまり聞き慣れない言葉ですが、脳卒中の患者によく使われている評価方法です。

JCSとGCSの利点・欠点を改良したものになります。

意識変容の評価方法

意識変容は質的に変化している状態、つまりせん妄とか幻覚などで、性格や様子が変化していることです。

そのため、問診などの情報から、なぜそのような状態を来してしまったのか を考えることはもちろんのこと、一日の中で症状が強いときや弱いときがあるのかをしっかり観察していく必要があります。

せん妄とは?

せん妄は医療従事者でも発見しにくいものです。

せん妄は3種類のパターンがあり、過活動型・低活動型・混合型に大別されますが、特に低活動型は発見しにくいとされています。

その中で正確にせん妄を診察するためのツールがあります。

せん妄の評価方法

それは、CAM-ICUというものです。

文献によって意見は様々ですが、感度・特異度ともに100%と記録されています。

どっちにしろ、医療従事者の “なんとなく” よりかは遥かに正確であるといえます。

参考 ICU のためのせん妄評価法(CAM-ICU)

また、鎮静状態の主観的評価にはラムゼイスコア(Ramsay Score)が用いられたりします。参考程度に。

ラムゼイスコア

意識障害に有効な運動療法とは?

意識障害を有している患者のリハにおいて、良肢位保持や体位変換、他動運動によるROM練習などのいわゆる維持的療法だけでは、二次的な合併症は防ぐことはできても覚醒レベルを向上させることは難しいと思います。

そこで、島倉先生らが報告している「多重刺激の積極的応用法」を抜粋してご紹介したいと思います。

反射活動の誘発

座位で前後左右に重心を移動させたりすることで反射活動(頭頸部の平衡反応や立ち直り反応)を誘発していく。

急激な動きをすると患者はびっくりしますので、それを利用して覚醒レベルを上げていくことも必要です。

聴覚的刺激の応用

患者に応答をもとめるような形式で話しかける方法です。例えば家族構成とか家族の名前などです。

また、病前に好きだった音楽などを聴かせることも重要です。

視覚的刺激の応用

意識障害の患者は目を閉じていることが多く、それが外界からの入力を閉ざしていることが多いと思います。そのため、積極的に目を開けさせ、「これはなんですか?」など、目を開けないと分からない質問をしていくと良いです。

さらにそれは座位や車椅子への移乗などで環境を変化させたりするとより効果的です。

舌・咽喉の刺激

経管栄養や気管切開口のみに依存していますと、舌の運動障害や嚥下障害の回復が遅れますのでスプーンなどで舌や咽喉、口蓋に刺激を与えると良いです。

移乗動作の促進

車椅子や椅子へ移乗させることで、環境や身体移動の変化が良い刺激となります。

また、それに加えて応答的反応を引き出すようにします(例えば窓の外の物体や植物の名前を言わせるなど)。

座位、立位、歩行練習の促進

臥位より座位、座位より立位、立位より歩行のほうが刺激は強いです。

意識障害を有する患者に歩行を実施するのは難易度が高いですが、長下肢装具やknee braceなどの装具や道具を使って積極的にしていくべきだと思います。

今や装具もとても進歩しておりますので、様々な工夫をして歩行まで実施していくと、その患者様はなお良くなっていくと思います。

今日のリハゴリ

  • 意識障害は意識混濁と意識変容の2つに分けられる。
  • 意識障害は脳幹網様体賦活系の障害、すなわち①大脳半球の広範囲障害、②視床の障害、③脳幹の障害によって引き起こされる。
  • 意識障害の運動療法では、寝たきりから離床させていき、刺激を与えることが重要なポイントである。

引用画像・参考文献

1)島倉忠行(1988)「意識障害患者のリハビリテーション」, 『IRYO』42(1), pp.39-44.

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