理学療法士による暇つぶしブログ

ACL損傷と膝蓋骨骨折のメカニズム・テスト法・治療法について

膝の痛み

膝の痛み

概念(ACL損傷)

着地や踏み切り動作などで生じる非接触型損傷が多く、比較的軽微な外傷でも生じ得る。

放置した場合に、半月板や関節軟骨などの他の関節構成体に二次的な損傷を生じる頻度がが多く、スポーツを継続するためには手術を要することが多い。

臨床症状

急性期には関節血症と疼痛のみが症状であることも多い。通常、疼痛が消退すると日常生活には復帰可能であるが、競技レベルのスポーツ活動は関節の不安定感のために継続できないことが多い。

不安定性が強いと日常生活でも、急な方向転換などで膝崩れを生じる。

膝崩れを繰り返し、二次的に半月板損傷を生じると、次第に疼痛や関節水症が認められ、さらに悪化すると二次性変形性関節症に進行する。

受傷機転

具体的なACL損傷の受傷機転として次の例が挙げられる。

  • 下腿の外反・外旋により内側側副靭帯損傷に合併して起こるもの
  • 急激なストップやジャンプの着地の際に大腿の外旋または下腿の内旋に膝外反が加わったときに起こるもの
  • 前方よりタックルを受けたときのように膝の過伸展によるもの
  • 外後方から脛骨上端へタックルを受けたときのように脛骨上端外側の前方移動強制で起こるもの
  • 大腿四頭筋の自家筋力によるもの

機能テスト

ACL損傷では、ジャンプ踏み切りや着地時、または急激な方向転換などの減速動作時にgiving way(膝崩れ)現象が起こりやすいため、歩行や階段昇降、ランニング、スクワッティング、ジャンプなどの動的機能を調べる必要がある。

片足ポップテスト

片足でできるだけ遠くに跳び、片足で着地できる、その距離を計測する。

クロスオーバーポップテスト

片足で連続3歩、15cm幅の線をまたぎながら跳び、片足で着地できるまでの全距離を計測する。

8の字テスト

10m離して両端に直径4mの円を設定し、その間をできるだけ速く走り、その所要時間を計測する。

特殊テスト

前方不安定性をみるテストを行う際、PCL損傷の存在を考慮すべきである。

PCL損傷があると重力により脛骨が後方へ移動してしまうため、見かけ上、前方へ移動した印象を受けてしまう。

また、急性期の場合にはLachman testの方がより正確であるという報告もある。

Lachman test

膝関節軽度屈曲位で大腿遠位部を外側より保持し、もう一方の手で下腿近位部を内側より保持し、脛骨を前方に引き出す。

正常の場合はしっかりとしたend pointが感じられるが、陽性の場合は脛骨の前方引き出し量が大きくend pointが不明瞭となる。

前方不安定性をみる徒手テストのなかでもっとも有効である。

Nテスト

足部を保持し下腿を内旋かつ軸方向に力を加え、もう一方の手で大腿骨外顆上方を保持し外反を加えながら母指で腓骨小頭を前方に押し出し屈曲90°位から膝を伸展させる。

陽性の場合、屈曲30〜10°付近で脛骨顆部が前方かつ内旋方向に亜脱臼するのが視診および触診でわかる。

前方引き出しテスト

膝を90°屈曲位として両手で下腿近位部を挟むように把持し、これを前方に引き出す。

下腿中間位・内旋位・外旋位で行う。陽性の場合、下腿の大きな前方への引き出し兆候が認められる。

定義(膝蓋骨骨折)

膝蓋骨骨折は転位の有無で分類される。

1-2mm以下の関節面の段差あるいは3mm以下の骨片転位は、転位のない骨折とみなす。

また、骨折線の状態により横骨折縦骨折粉砕骨折と表現される。

リハビリテーション目標

関節可動域

  • 膝伸展不全を予防するために、屈伸での膝関節全可動域を保持する。
  • 股関節、膝関節の全可動域を獲得するために、大腿直筋の全長を保持する。
  • 外傷の影響や固定治療の結果、低下の恐れのある靭帯の柔軟性を維持する。

筋力

  • 膝関節の伸筋である大腿四頭筋と、股関節の屈筋で二関節をまたぐ大腿直筋の筋力を向上させる。
  • 強力な膝屈筋であるハムストリングの筋力を向上させる。
  • 大腿四頭筋とハムストリングの筋バランスを向上させる。

ギプスまたは膝固定装具

適応

伸展機構が保たれている関節外骨折を含む、転位のない膝蓋骨骨折に選択される治療法である。

観血的整復内固定術

適応

粉砕骨折や、転位のある膝蓋骨骨折に選択される治療法である。

観血的整復の主目的は、外傷後の関節症性変化を減少させるべく関節面を整えることにある。

あらゆる膝蓋支帯の断裂も修復する。

膝蓋骨部分または全切除術

適応

十分な修復が不可能な高度の粉砕がある場合、膝蓋骨の部分または全切除を行う。

しかし、膝蓋骨切除術では術後に疼痛を生じ、伸筋筋力が失われ、伸展不全、膝関節可動域の減少をもたらす。

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