理学療法士による暇つぶしブログ

TKA 後でも関節水腫が生じる原因とは?

はじめに

膝関節は複雑な動きをしている。

屈曲・伸展や、回旋の主な運動のほかに、歩く、走るといった連続運動を止めるブレーキのような役目をする。

これらのことから、膝は人体の動きの中心であると同時に、絶えず加重され酷使される個所でもある。

長年の負荷の積み重ねが、膝の病気や痛みを引き起こし、場合によっては、腫れて水がたまり、歩くのもやっとという症状が出てくる。

膝が腫れてくるという症状は、比較的、誰が見てもわかる症状である。

膝は大腿骨・脛骨・腓骨・膝蓋骨から構成されている。

膝蓋骨は膝の動きに呼応しながら、大腿骨の上を強い力で滑り、大腿骨・脛骨・膝蓋骨の3つが体重を支え、膝関節の運動に関与している。

関節部には、3-4 mmの関節軟骨が表面を被覆しており、関節運動を円滑にする働きがある。

また、大腿骨と脛骨との間には半月板という軟骨があり、この半月板は体重による圧力を分散させたり、関節軟骨の円滑な動きを行う役目をする。

関節の外壁には関節液を含んだ関節包がある。

関節液は潤滑油としての働きや、関節内部で軟骨と軟骨が触れ合ったとき、摩擦を少なくする役目をしている。

関節水腫が生じるメカニズム

膝関節に貯留する水の正体は関節液(滑液)である。

滑液は滑膜から分泌されており、関節の潤滑油の役目をしたり、滑膜や関節軟骨の保護や関節軟骨の栄養供給をする働きをしている。

滑液は血漿の濾出液にヒアルロン酸のムコ多糖体が加わったもので、蛋白成分は少なく、少数のリンパ球や単球などの食細胞を含んでいる。

この食細胞は関節で生じた組織などの残骸の除去に当たっており、膝関節においては、正常の場合、0.5 – 3.0 cc あるといわれている。

しかし、無理な外力が加わったり、反復動作を繰り返したりすると、滑膜が刺激されて炎症を起こす。

すると、滑膜の機能が変化して滑液が多く分泌さる。

この分泌と吸収のバランスが破綻し、滑液が分泌過多となり関節に水がたまる。

膝関節は広い滑膜面積を有しているために、様々な滑膜炎を他の関節の滑膜よりも起こしやすく、また関節自体、特に滑膜が皮下直下にあるために軽微な外力でも滑膜に損傷を受け、関節水腫をきたしやすい。

関節水腫が生じる原因

関節外傷によって起こる場合

関節に打撲、回旋などの外力が加わると関節包、滑膜、靭帯に損傷を受けて炎症状態となる。

損傷のひどい場合には、関節血腫(関節内の出血)が出現する。この場合は、骨損傷を伴うことが少なくない。

反復動作によって起こる場合

職業的なもの、スポーツによるもの、生活習慣によるもの、などの反復動作により起こってくる。
長い間、同じ動作を繰り返し行っていると、関節軟骨が消失していき、衝撃吸収としての役割を果たさなくなることで、関節に直接負担がかかるようになり、関節が変形してくる。

そして、関節包に直接刺激が加わって炎症が起こりやすくなり、これを治そうとする人体の作用により関節液が貯留して腫れてくるようになる。

悪化や発病による場合

慢性関節リウマチ、痛風、血友病などの例で、転倒、打撲、捻挫をすることにより、それまで沈静化していたはずの関節滑膜炎が増悪する。

同じように沈静していたはずの滑膜炎が長い間の反復動作を繰り返すことにより再燃する。

TKA 術後にも関節水腫が稀に生じるのはなぜ?

術後は腫脹・発赤・熱感・疼痛などが複雑に絡み合う炎症症状を呈すると言われており、術時の組織侵襲による修復反応がみられる。

TKA のような置換術では、コンポーネントのような異物を挿入するため、まれに炎症症状が継続する例も見られる。

これらの症状が理学療法にもたらす悪影響として腫脹・炎症に関しては関節内液の貯蔵が関節の運動を機械的に妨げ、拘縮につながる。

また、関節内圧の亢進は関節包に存在する受容器を刺激し、筋スパズムや巧緻性の低下なども招く。

同時に、人工関節置換によって関節水腫が起こりにくくなるのは、手術で変形が強制され、関節の安定性が向上するためだと言われている。

よって、手術後も不良肢位を取り続けることで再び関節液が貯留することがあるとも考えられる。

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