バイタルチェックの基本である脈拍の診察を詳しく知っていますか?

 

脈拍とは、心臓の筋肉が一定のリズムで収縮することにより、動脈を通じ全身に血液が送られることです。

心臓の拍動に伴い動脈内壁に圧力の変化が生じるので、体表面から動脈の拍動を感じることが可能となり、これを脈拍と呼んでいます。

また、1分間に感じられる脈拍の回数を脈拍数と呼んでいまして、一般的な成人で60-80回程度(基本的に50-100回が正常といわれている)です。

この脈拍は血管や心臓機能の状態を示しているので、リハビリテーションにおいて欠かせない診察法の一つです。

カルテなどでは脈拍のことを英語でPulseというので、「P」と略すことが多いです。

脈拍の測定方法

  • 示指・中指・環指の手掌面で軽く触れます。
  • 母指で触ると自分の脈拍と勘違いしてしまう恐れもあるので、中指で触知することが望ましいです。
  • 患者の脈拍を両側とも触知することで、左右差などを比較しやすいです。
  • 触知する動脈としてご存知の橈骨動脈が主な触知部位となります。
    またこの他には上腕動脈や膝窩動脈、足背動脈があります。

橈骨動脈で触知する理由

通常、橈骨動脈が触れる場所は皮下脂肪が薄く、血管も皮下脂肪の浅い部位にあります。

そのため、皮膚に近い場所を走っており、脈拍が弱くても触れることができるからです。

他の理由として、正常な人で橈骨動脈を触れることができない場合はほとんどないことや、心臓の位置から近い部位にあること、衣服に覆われることが少ないため容易に触知が可能であることなどが挙げられます。

脈拍の触知が困難な場合

臨床現場では、患者の血圧が低いために橈骨動脈での拍動を触れることができない場合が多々あります。

その場合は、総頸動脈もしくは大腿動脈で脈拍を測定します。

総頸動脈の触知方法

頸動脈三角という三角で囲まれた場所で触知することができます。

その頸動脈三角というのは

  • 顎二腹筋後腹
  • 胸鎖骨乳突筋
  • 肩甲舌骨筋

によって形成された三角の形をした領域のことです。

因みに、この領域では総頸動脈以外に内頸動脈迷走神経も通っています。

大腿動脈の触知方法

大腿三角もしくはスカルパ三角という三角で囲まれた場所で触知することができます。

その大腿三角(スカルパ三角)というのは

  • 鼠径靭帯
  • 長内転筋
  • 縫工筋

によって形成された三角形の領域のことです。

因みに、この領域では大腿動脈以外に大腿神経大腿静脈も通っています。

臨床応用

足背動脈(約 10% の人では触れない)や橈骨動脈の拍動を触れることが出来れば収縮期血圧80mmHg以上はあると判断できます。

また、上腕動脈の拍動を触れることができれば70mmHg以上、総頸動脈・大腿動脈の拍動を触れることができれば60mmHg以上あると判断できます。

脈拍数と心拍数が異なる理由

臨床場面でよく遭遇する出来事として、心電図モニターで測る心拍数より脈拍数の方が少ないことです。

基本的に心拍数と脈拍数は同じなのですが、不整脈のある疾患では脈が飛ぶ(脈の結滞)ことがあります。

正常では心室に血液が満タンになって心臓が収縮するのですが、不整脈の場合、満タンにならない状態でも収縮してしまうことがあるので、弱い拍出(小脈)となって脈拍として触知することが難しくなるからです。

また、循環血液量が少ない場合でも心臓から動脈へ送り出される血液量が少なくなるので橈骨動脈で触れる拍動が弱くなって(小脈)、脈拍として触知することが困難になる場合もあります。

※小脈は下記で記載しています。

脈拍測定から分かること

  • 脈拍数
  • 脈拍の種類(大きさ・緊張度・速度)
  • 脈拍のリズム
  • 脈拍の左右差

脈拍数

  • 一般的に30秒間計測し2倍した数値が用いられます。
  • 初診や徐脈、不整脈がある場合には必ず 1 分間計測し不整脈の数などを把握する必要があります。

正常値

成人の場合、60-100回が正常値で60回以下を徐脈100回以上を頻脈としています。

脈拍の種類

  • 脈拍の大きさ
  • 脈拍の緊張度
  • 脈拍の速度

脈拍の大きさ

動脈の拍動幅のことで、振幅の大小を示しています。

  • 大脈:拍出量が大きく大動脈弁閉鎖不全高熱時などにみられます。
  • 小脈:拍出量が小さく大動脈弁狭窄症などにみられます。

脈拍の緊張度

動脈を圧迫して弾性力硬度を診ます。

脈拍の速度

脈の立ち上がりの速度を診ます。

  • 速脈とは拍動が急に大きくなり、そして急に小さくなる状態のことです。
  • 遅脈とは拍動が緩やかに大きくなり、ゆっくり小さくなる状態のことです。

脈拍のリズム

規則的に律動しているか否かを診ます。

  • 規則的(整)
  • 不規則的(不整)

脈拍の左右差

単純に左右で上記の脈拍数や種類、リズムに相違があるか否かを診ます。

なぜ、左右差を診ないといけないのでしょうか。

脈拍の左右差を診る理由

正常であれば、脈拍の左右差などは生じません。

しかし、脈拍の左右差が生じている場合、拍動が弱いか無い側の動脈狭窄などが疑われるからです。

動脈狭窄とは

  • 縦隔腫瘍などによる圧迫
  • 動脈瘤
  • 鎖骨下動脈狭窄症
  • 大動脈炎症候群縦隔腫瘍などによる圧迫

などにより、動脈の狭窄を生じた側の拍動が弱くなるか無くなります。

 

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