理学療法士による暇つぶしブログ

筋スパズムで圧痛所見が認められる原因について解説

筋スパズムの概要

筋スパズム(muscle spasm)とは、筋攣縮とも言われていて、その名の通り筋が攣縮している状態のことです。

また、筋だけでなく血管の攣縮も伴っていると言われています。

生理学的にいうと、筋やその他関節の周りに存在する組織に刺激が加わることで侵害受容器が反応して、脊髄内へ伝わっていきます。

その脊髄内へ伝わった信号は以下の二つのルートに分かれていきます。

  • 脳へ伝わるルート
  • 末梢へ伝わるルート

脳へ伝わるルート

脊髄後角→外側脊髄視床路を上行→視床→大脳体性感覚野へ投射されることで、痛みを認識します。

末梢へ伝わるルート

脊髄反射を形成して、脊髄前角のα運動線維と交感神経に関与する節前線維に作用して筋をはじめ、血管にも攣縮のような状態を引き起こさせます。

このように脊髄反射が強く関連しているのが筋スパズム(筋攣縮)の病態なのです。

図 疼痛と血管および筋スパズム発生機序1)

圧痛所見が認められる理由

前述したように筋攣縮には血管の攣縮も伴いますので、長期にわたって攣縮が生じた場合、その部分の血液循環が滞ります

その部位に血液がいかなくなれば、筋は虚血状態になり、それに伴って筋が変性していきます。

この変性する過程で痛みを引き起こす物質(発痛関連物質)が放散されていきます。

この痛みを引き起こす物質は筋細胞の外に放散され、侵害受容器(ポリモーダル受容器や高閾値機械受容器 etc…)の閾値を下げるために、普通の圧迫を侵害刺激と認識してしまい、痛みが生じてしまうのです。

図 筋攣縮の生理学的機序1)

圧痛を除去する方法

筋攣縮の有用な運動療法として林先生ら1)反復性等尺性収縮を提唱しています。

その反復性等尺性収縮とはどのようにするのでしょうか?

反復性等尺性収縮のメカニズム

筋は筋腹が真ん中にあり、両方の端に骨に付着した腱がある構造となっています。

そのため、等尺性収縮をすると筋腹部分は収縮しますが、骨(関節)は動かないためどこかが伸ばされているのです。それはいったいどこでしょうか?

腱と思うかも知れませんが、腱は硬い組織なのでそこまで伸ばされません。

正解は筋腱移行部(MTJ)です。

そのため、等尺性収縮は筋腱移行部を効率よく伸張することができる運動療法の一つなのです。

図 等尺性収縮がもつ機能的特性1)

では筋腱移行部を伸張するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

ゴルジ腱器官の興奮によるIb抑制

筋腱移行部に伸張刺激が加わるとゴルジ腱器官が反応することは知っていると思います。

ただ、ゴルジ腱器官の閾値は割と低いみたいで、軽い伸張刺激でも反応するといわれているみたいです。2)

ゴルジ腱器官の反応によってIb抑制がかかるので、筋の緊張は弛緩していきます。

図 ゴルジ腱器官によるIb抑制について1)

筋ポンプ作用による発痛物質の除去

この筋ポンプ作用というのが筋攣縮による圧痛を取り除いている一番の理由なのかなと個人的には思います。

筋の収縮と弛緩をリズミカルに繰り返すことによって、血液の循環を良くしていくというメカニズムです。

筋が収縮すると血管を圧迫しますが、この圧迫により一時的に血流を遮断します。そして一気に弛緩をして圧迫を解放することにより血液が勢いよく流れていくイメージです。

勢いよく流れることにより血管内に滞っていた痛みを生じさせる物質を取り除いていくのです。

図 筋ポンプ作用による筋内発痛物質の排除1)

 

1)林典雄(2015)『肩関節拘縮の評価と運動療法』, pp.77-84, 運動と医学の出版社.

2)大地陸男(1992)『生理学テキスト』, pp.35-82, 文光堂.

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