理学療法士による暇つぶしブログ

痛みを理解するのに大事なヒルトンの法則について

ヒルトンの法則

今回は痛みを理解するのに重要なヒルトンの法則について記載していきたいと思います。

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はじめに

よく臨床で、多裂筋に筋攣縮(筋スパズム)が認められる腰痛もちの患者さんを見かけることがあると思います。

なぜ、他の腰筋群ではなく多裂筋が多いのでしょうか?

それにはヒルトンの法則(Hiltonの法則)が深く関わっているのです。

Hiltonの法則とは?

「関節構成体(関節包や靭帯)に分布する神経は、その関節を動かす筋に加えて、その筋の付着部を覆う皮膚にも分布する。」と難しい言葉で定義されています。

もう少し噛み砕いて説明すると、関節包や靭帯にももちろん神経が通っており、その神経はそれら関節包や靭帯の周囲にある筋や皮膚にまでも同じ神経が分布しているということです。

つまり、関節包や靭帯が伸ばされたりして刺激が加わると、神経通じて筋にまで影響するのです。

なぜ、そのようなことが生体にとって必要なのでしょうか?

それは生体防御の一つだからです。

生体防御の一つ、反射性攣縮とは?

関節包や靭帯が過度に伸張されると、関節が緩くなってしまうので、それを防ぐために同じ神経支配の筋が収縮して関節を守るのです。

このように筋が反射的に収縮することを反射性攣縮といいます。

では、なぜ多裂筋に筋攣縮が生じやすいのか?

椎間関節周囲の関節包を支配している神経は脊髄神経後枝内側枝と呼ばれる神経です。

この「内側枝」は椎間関節だけでなく、ある筋の支配もしています。

そう、お分かりの通り「多裂筋」なのです。

他のメジャーな腸肋筋や最長筋は基本的に脊髄神経後枝外側枝支配ですが、多裂筋だけが脊髄神経後枝内側枝支配になっているのです。

ある研究で関節包内に発痛物質を注入して炎症を再現することで関節周囲筋に反射性の攣縮が生じることが証明されています。

そのため、椎間関節由来の腰痛もち患者さんでは同レベルの多裂筋に反射性攣縮が生じることで、筋攣縮を誘発して痛みを引き起こしていることが考えられます。

どのように治療をしていくか?

臨床では筋緊張が高い場合、周囲関節の位置異常を整えると筋緊張が低下することがよく見受けられます。この場合、関節の位置異常により関節包などに伸張ストレスが生じて周囲の筋へ反射性の攣縮を招いていたと考えることができます。

しかし、筋緊張が高い状態で関節の位置異常を整えるのは至難の技でスキルが求められます。

なので、まずは多裂筋のリラクセーションを行い筋緊張を緩めていくことが重要となります。

その後、関節の位置異常を整えたり、椎間関節性の腰痛になった原因を特定し、機能障害に対して治療をしていくことが望ましいでしょう。

椎間関節性腰痛の主な原因とは?

椎間関節性腰痛の患者さんでは腰椎の後弯可動域が制限されている例がほとんどといわれています。

林ら1)は腰椎後弯域の評価として後部腰椎可動性テスト(posterior lumbar flexibility test:以下、PLFテスト)を考案し、臨床応用していると報告しています。

PLFテスト

側臥位で両股関節を45°屈曲した状態が開始肢位です。

上方に位置している股関節を屈曲して、大腿部が胸部に抵抗感なく接触するかどうかを診るテストになります。

PLFテスト

PLFテスト

腰椎の後弯可動域が保たれていれば骨盤は簡単に後傾するので無理なく大腿部は胸部に接触することができます。

しかし、腰椎の後弯可動域が制限されていれば大腿部は胸部に接触しないことは容易に想像できます。

これを治療に用いることもできますし、治療前後の評価としても用いることができます。

ぜひ、これらの知識を活用して臨床に役立ててみてください。

参考文献・引用画像

1)林典雄「特別寄稿 椎間関節性腰痛のみかた」, 『Medical*Online』, pp.10-16.

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