理学療法士による暇つぶしブログ

筋攣縮と筋短縮の違いとは?それぞれを見分ける評価方法について

筋攣縮,筋短縮,筋スパズム,筋節,サルコメア

筋攣縮の概要

過去記事でも紹介しましたが、筋攣縮とは筋スパズム(muscle spasm)とも言われていて、その名の通り筋が攣縮している状態のことです。また、筋だけでなく血管の攣縮も伴っていると言われています。

生理学的にいうと、筋やその他関節の周りに存在する組織に刺激が加わることで侵害受容器が反応して、脊髄内へ伝わっていきます。

その脊髄内へ伝わった信号は以下の2つのルートに分かれていきます。

  • 脳へ伝わるルート
  • 末梢へ伝わるルート

脳へ伝わるルート

脊髄後角→外側脊髄視床路を上行→視床→大脳体性感覚野へ投射されることで、痛みを認識します。

末梢へ伝わるルート

脊髄反射を形成して、脊髄前角のα運動線維と交感神経に関与する節前線維に作用して筋をはじめ、血管にも攣縮のような状態を引き起こさせます。

このように脊髄反射が強く関連しているのが筋スパズム(筋攣縮)の病態なのです。

筋スパズム,筋攣縮

筋短縮の概要

 

筋組織が伸びにくくなった状態のことで、これらの原因として以下の2つが考えられます。

  • 筋実質部の問題
  • 筋膜の問題

筋実質部の伸長性低下

筋線維、筋原線維を作っている基本の単位であるサルコメア(筋節)が少なくなることで筋短縮が引き起こされると言われています。

下図の通り、太いミオシンフィラメントと細いアクチンフィラメントが互いに隣り合っていますが、太いミオシンフィラメントに対して細いアクチンフィラメントが引き離されていくことでサルコメア(筋節)の間が延びていきます。

そのため、このサルコメアが多ければ多いほど、筋の伸び率は高くなっていきます。つまり、筋実質部の伸長性低下というのはサルコメアが少なくなることで伸長時の抵抗感が強くなるという状態のことなのです。

筋短縮,筋節,サルコメア

筋膜の線維化

正常な筋膜のコラーゲンを引き離すと扁平化して伸びていきますが、線維化してしまうと架橋結合というのが生じてしまって、伸長時の抵抗感が強くなってしまうのです。

これは、長期にわたり臥床している場合(関節不動によって)に引き起こされ、架橋結合をして組織を硬くさせてしまうために起こることです。

筋短縮,線維化

両者を見分ける方法

  • 圧痛の有無
  • 伸張位と短縮位の筋緊張具合
  • 等尺性収縮時痛の有無

これら3つを見分けるための評価として実施していきます。

1.圧痛の有無

筋攣縮は発痛物質を放散するので、侵害受容器の閾値を下げ、圧迫を侵害刺激として捉えてしまいます。そのため、筋攣縮は圧痛を認めることが多いのです。

筋スパズムで圧痛所見が認められる原因について解説

しかし一方で筋短縮は組織の変性によって伸びにくくなっただけの状態で、虚血や発痛物質の放散も生じません。そのため、圧迫を侵害刺激として捉えず圧痛を認めることはないのです。

よって圧痛が生じるということは、筋攣縮の可能性が高くなるのです。

2.伸張位と短縮位の筋緊張具合

筋攣縮は脊髄反射の亢進によって、持続的な収縮が常に生じているので、短縮位にしようとも筋を触ると緊張が高くなっているのです。

しかし一方で筋短縮は前述の通り、組織の変性によって伸びにくくなっただけなので、筋を伸張位にすると筋は張って緊張は高くなります。

ただ、短縮位にすると弛緩するので筋は緩み緊張は低くなります。

よって、筋を短縮位にしてみても緊張が高ければ筋攣縮の可能性が高くなるのです。

3.等尺性収縮時痛の有無

筋攣縮は血管にも攣縮を伴うので、静脈還流がうまいこと機能せず、筋内圧は上昇してしまいます。この状態で強い等尺性収縮を行うと、さらに筋内圧は上昇してしまうので、痛みが生じてしまうことが多いのです。

また、余談になりますが、雨の日などでは大気圏が低気圧になっており、相対的に身体内部は高気圧状態になります。つまり、組織の内圧は普段より高くなっているので、調子の悪さを訴えられたり内圧上昇による痛みが強くなってしまうのです。

しかし一方で筋短縮は筋内圧の上昇を認めないので、等尺性収縮による痛みは生じません。

よって、等尺性収縮に伴う痛みが生じると筋攣縮の可能性が高くなるのです。

以下に簡単に見分ける表を載せてますので、ぜひご活用ください。
筋攣縮,筋短縮,筋スパズム

参考書籍・引用画像

1)林典雄(2015)『肩関節拘縮の評価と運動療法』, pp.77-84, 運動と医学の出版社.

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