理学療法士による暇つぶしブログ

夜間痛のメカニズムとは?その原因と対処法を解説!

夜間痛とは?

一般的に肩関節周囲炎、いわゆる四十肩や五十肩に多く見られるもので、夜寝ていると痛みが強まり、眠れないという症状のことを言います。

夜寝るまでの日常生活上では痛みがなかったり、痛みがあってもそこまで強くなかったりします。

しかしながら、「夜寝ることで痛みが強くなってくる」という訴えをよく聞きます。

この夜間痛に関して、様々な見解が為されていますが、未だ解明には至っておりません。

ただ、専門家の間で解明に近い有力な原因が最近いわれていますので、その夜間痛の原因について記載させて頂きたいと思います。

夜間痛の原因は?

主に下記の2つに分けられると考えられています。

  • 肩峰下圧の上昇
  • 上腕骨内圧の上昇

いわゆる"圧"が高くなることによって、夜間痛が生じると最近言われているのです。

では、それぞれについて詳細を見ていきましょう。

肩峰下圧とは?

肩峰下圧とは、具体的に烏口肩峰靭帯直下における圧のことで、夜間痛症例では、それらの圧が有意に高かったと報告されています。

即ち肩峰下圧が高くなることが夜間痛と何ら関係があると考えられているのです。

肩峰下圧が高くなる要因として、

肩峰骨頭距離の短縮

  • 肩峰下骨棘の増加
  • 烏口肩峰靭帯の肥厚
  • 腱板の石灰化

内容量の増加

  • 肩峰下滑液包(SAB)の炎症
  • 腱板炎からの浮腫

関節包内容積の減少

  • 腱板筋群の攣縮
  • 肩峰下滑液包(SAB)の癒着
  • 関節包の肥厚

などが挙げられます。

また、文献1)では夜間痛群において、上腕骨に対して肩甲骨が下方回旋する姿勢の特徴があったと報告されています。

さらに、夜間痛群においては外旋可動域が有意に減少していたという報告もされています。

即ち夜間痛群では外旋運動を制限する腱板疎部(烏口上腕靭帯、上関節上腕靭帯、棘上筋、棘下筋横走線維、肩甲下筋上部 etc… )のタイトネスがあり、これらの筋群は肩関節の内転と肩甲骨の上方回旋で強く伸張されます。

そのため、夜間痛群では伸張回避のため、肩甲骨が下方回旋してしまう特徴が出現するのではないかと考えることができます。

しかしながら、就寝時では肩甲骨がベッド面に固定されるため、肩甲上腕関節は重力によって伸展、外旋方向へ運動が生じます。

これにより、腱板疎部は伸張されますが、痛みの回避が困難になるため、夜間痛が出現するのではないかと考えられています。

上腕骨内圧とは?

骨にも動静脈が入り、血液などを供給しています。

そのため、血液量が多くなったりすると、骨内の圧は高くなり、上腕骨内圧は上昇していきます。

上腕骨内圧が上昇するのは、なぜ?

動脈には血管平滑筋という筋肉があるので、静脈と比較して弾性があり、圧迫されても潰れにくい構造を持っています。

一方で、静脈は圧迫されると潰れやすいので、何らかの原因により圧迫されると静脈のみ潰れて血流が悪くなっていきます。

すると、動脈は潰れにくいため、血液は骨内に入ってきますが、静脈は潰れやすいので骨外へ血液を排出することができずに、骨内へ滞ることになります。

即ち骨内はうっ血が生じて骨内圧は上昇するのです。

図 動脈による流入量と静脈による流入量のアンバランスによる骨内圧上昇2)

どんな外部ストレスで血管は圧迫されるのか?

上腕骨を栄養している血管は前・後上腕回旋動脈になっています。

特に後上腕回旋動静脈の骨へ入る部分は細くなっていて、圧迫を受けると潰れやすくなっています。

この血管の下には小円筋や棘下筋が存在していますから、それらの筋攣縮が生じた場合、後上腕回旋静脈は圧迫されて潰れる可能性があるのです。

参考 筋攣縮と筋短縮の見分け方とは?

このようなメカニズムにより骨内圧が上昇し、夜間痛が出現します。

夜間痛に対する対処法とは?

肩甲下圧の上昇が原因の場合

就寝時、肩甲上腕関節は重力で伸展、外旋して腱板疎部が伸張されることによって肩甲下圧は上昇していきます。

そのため、肩甲上腕関節の伸展、外旋を防ぐことが夜間痛予防にとって重要になります。

即ちクッションを腹部の上と肘の下に置くことで、伸展、外旋が生じにくくなり、夜間痛の出現が減少するといわれています。

上腕骨内圧の上昇が原因の場合

就寝時、患側が下の側臥位で寝ると、第3肢位での内旋が強制され、小円筋や棘下筋が伸張されます。

また、患側が上の側臥位で寝ても、患側の水平内転が強制されると、同様に小円筋や棘下筋が伸張されます。

小円筋や棘下筋が伸張されると、後上腕回旋静脈を圧迫しやすくなるため、骨内圧は上昇し、夜間痛が発生するのです。

そのため、患側を上にして、かつクッションなど大きめの物を抱きかかえるようにして患側の水平内転を防止することが重要になります。

図 就寝時の腱板疎部の伸張肢位と安静肢位2)

 

参考文献、引用画像

1)林典雄(2004)「夜間痛を合併する肩関節周囲炎の可動域制限の特徴とX線学的検討−運動療法への展開」, 『J Clin Phys Ther7』1-5.

2)工藤慎太郎(2013)『運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学』, pp.33-37, 医学書院.

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