胸水が貯留する原因について解説

はじめに

胸水は呼吸器や循環器疾患でよく合併することが多い所見です。また、理学療法評価におけるX線やCTなどの画像評価でも頻繁に遭遇する所見ですね。

そのため、胸水の発生メカニズムを知ることで臨床評価で様々な推論ができるのです。

胸腔の解剖学的位置

胸腔(chest cavity)はみなさん知ってると思いますが、具体的な場所について知らない人が多いように感じます。胸腔とは「肋骨や胸椎、胸骨や横隔膜で囲まれた空間のこと」です。

これなら聞いたことありますが、胸水のメカニズムを考えるとき、この情報だけでは理解するのは難しくなります。

では、胸腔とは何かと言いますと、壁側胸膜と臓側胸膜の間にある空間のことです。

肺は2つの膜に覆われています。その内、外側の膜のことを壁側胸膜、肺側の膜のことを臓側胸膜といいます。

胸水の概要

胸水とは正常な人でも数mL存在しており、壁側胸膜と臓側胸膜の癒着を防ぎ、潤滑剤として機能しています。

実際、びっくりすると思いますが1日に約5-10ℓの胸水が作られて、吸収されているのです。

胸水の生成と吸収

胸水は壁側胸膜で作られて、臓側胸膜で吸収されます。

この生成と吸収のバランスは静水圧と浸透圧によって調節されています。

静水圧と浸透圧による調節

壁側胸膜は気管支動脈に支配されていて、臓側胸膜は気管支静脈に支配されています。

この2つの静水圧を比べると、気管支動脈の方が高いので、気管支動脈から胸膜へ胸水が漏れていきます。

すると、胸膜の水量が多くなり、今度は浸透圧に差が出るため、気管支静脈から浸透圧を一定に保つために水分(胸水)を吸収していくことで、調節されているのです。

胸水が貯留する原因

簡単に言うと、

  • 水分(胸水)の産生亢進
  • 水分(胸水)の吸収抑制

このいずれかの1つが生じることで、調節機能が破綻し、胸水は貯留する方向へと向かってしまいます。

調節機能が破綻する原因

主な原因として5つを挙げました。

  • 血漿膠質浸透圧の低下
    ⇒低アルブミン血症
  • 静水圧の増加
    ⇒うっ血性心不全
  • 胸腔内圧の増加
    ⇒無気肺
  • 血管透過性亢進
    ⇒胸膜炎
  • リンパ管圧の上昇
    ⇒リンパ管閉塞(腫瘍など)
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