骨接合術 γ-nail法とCHS法とは?エックス線で診るポイントとは?

大腿骨近位端骨折は臨床でも見る機会が多く、脊椎圧迫骨折とともに典型的な骨粗鬆症性の骨折です。日本における骨粗鬆症患者は推定1100万人とされており、骨粗鬆症性の骨折である大腿骨近位端骨折の発生数は2007年に約15万人に達したと報告があります。

これだけ増加傾向にある大腿骨近位端骨折の誘因のほとんどが転倒であり、これは要介護・要支援の大きな要因になっています。

このように今後も増え続けるであろう大腿骨近位端骨折の手術として、骨接合術のγ-nail法とCHS法があります。これらの手術によるメリット・デメリット、リスクなどをしっかり把握し、治療展開していくことが求められます。

γ-nailとは?

Gamma nail法(ガンマネイル法)とも言います。この手術は遠位骨片を髄内釘で固定して、大腿骨頭はラグスクリューを用いて固定する方法のことです。

γ-nailのメリット

  • 安定型、不安定型にも適応
  • 骨折部の圧迫による癒合が期待〔テレスコーピングによる〕
  • 固定力が強固〔髄内に荷重軸があるため〕
  • 感染防止に有効〔手術手技が閉鎖的なため〕
テレスコーピングとは?
テレスコーピング(telescoping)とは荷重によりラグスクリューがスライディングし、骨折間に圧迫が加わること。

γ-nailのデメリット

  • 骨頭の内反変形やカットアウトのリスク〔ラグスクリューの刺入位置の不良による〕
  • 大腿骨骨幹部骨折のリスク〔遠位端のスクリューによる〕

CHS法とは?

Compression hip screw法(CHS法)は遠位骨片をプレートで固定して(γ-nailは髄内釘)、大腿骨頭はラグスクリューを用いて固定する方法のことです。

CHSのメリット

  • 手術侵襲が少ない
  • 骨折部の圧迫による癒合が期待〔テレスコーピングによる〕

CHSのデメリット

  • 不安定型には不適応
  • 骨頭の内反変形やカットアウトのリスク〔ラグスクリューの刺入位置の不良による〕
  • プレート端の骨折リスク〔骨粗鬆症による〕

ラグスクリューの特徴

γ-nail法、CHS法ともに利用されているラグスクリューにはプレートとの接続部分にスライディング機構があります。

ラグスクリュー引用:整形外科疾患の状態やリハビリテーションに関する理解を深めるブログ

上図のようにスライディングしてくれれば(右図)荷重に伴って生じる骨折部の短縮によりラグスクリューは外側遠位へと移動し、近位と遠位の骨片が噛み合ったところで安定します。

一方で、スライディング機構がなかった場合、荷重に伴って生じる骨折部の短縮によりラグスクリューは遠位外側へと移動しないため、必然的に近位内側へと移動することでカットアウトのリスクが高くなります。

このスライディング機構は骨癒合をさらに促進し、かつカットアウトのリスクも軽減できるのです。

エックス線の診るポイント

 

γ-nail法やCHS法を施行されているエックス線において、診ておきたいポイントを下記にまとめました。

  • シェントン線
  • 刺入位置
  • 頸部内側骨皮質(Calcar  femoral)
  • 小転子骨折の有無
  • 骨粗鬆症の有無

シェントン線

シェントン線とは正常の股関節前後像において、大腿骨内側を近位に辿っていく線が大腿骨頸部で内側にカーブを描いて、その延長が閉鎖孔の上縁に綺麗に繋がるというものです。

変形性疾患や脱臼、骨折などではシェントン線が不連続となり形態や位置異常を示します。

シェントン線

刺入位置

ポイントは下記の2つです。

  • ラグスクリューが骨頭中心より少し下
  • ラグスクリューの骨頭先端位置
ラグスクリューの先端位置の指標となるものにTAD(tip-apex distance)という計算式があります(ここでは割愛)。

正常ではラグスクリュー先端は固定されていて動かないのですが、骨粗鬆症や骨萎縮などにより骨が脆くなると硬いラグスクリューに耐えられず骨頭を貫通してしまう場合があります(カットアウト)。

これを未然に防ぐためにはレントゲンを頻繁に読影して変化を見つけなければなりません。変化を見つければ、問題となる前に医師への報告はもちろん運動や荷重による負荷を軽減しなければならないのです。

頸部内側骨皮質(Calcar femoral)

大腿骨頸部内側で骨皮質から内部に向かって垂直方向に突出する高密度の板状構造のことです。この板状構造にズレが生じている場合、Calcar femoralの連続性は保たれていないと考えられ、早期荷重による頸部短縮のリスクがあります。

この連続性が保たれている場合を安定型、保たれていない場合を不安定型としています。

小転子骨折の有無

腸腰筋の停止部である小転子の骨折を伴った大腿骨近位端骨折は小転子の転位に注意しなければなりません。腸腰筋の収縮により小転子が引っ張られるためです。

また、停止部である小転子の安定性が欠けていると腸腰筋の機能が発揮されにくくなります。腸腰筋は股関節屈曲、腰椎前弯作用の他に骨頭安定化機能があります。この骨頭安定化機能が失われると骨頭被覆率を上げようと股関節屈曲による骨盤前傾位を呈して、代償してきます。

このように歩行時にも股関節屈曲位であれば骨盤側方移動の制御で大腿筋膜張筋に依存してしまい、中殿筋などの股関節周囲筋の筋萎縮を惹起する恐れがあります。

股関節周囲筋が弱化した状態での動作は転倒して再骨折という負のスパイラルになるため、小転子骨折の有無を確認し、転位が生じないよう細心の注意を払う必要があります。

骨粗鬆症の有無(エックス線は関係ないですが)

「刺入位置」の項で触れましたが、骨粗鬆症であればラグスクリューが骨頭を貫通するカットアウトの恐れがあるので、骨粗鬆症患者ではエックス線から頻繁にTADを算出して変化を追っていく必要があります。

今日のリハゴリ倶楽部

  1. γ-nail法、CHS法ともにスライディング機構によって骨折部を圧着する作用を有している。
  2. γ-nail法、CHS法ともにカットアウトのリスクがあるので、エックス線で刺入位置の確認をする必要がある。
  3. エックス線では、まずCalcar femoralの連続性を確認する。

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