多裂筋性腰痛である多裂筋コンパートメント症候群について

 

「多裂筋コンパートメント症候群」聞いたことある方もいると思いますが、大半があまり聞き馴染みのない言葉だと思います。

これはどういう症候群なのかというと、コンパートメント” compartment “=区画 を意味してますので、多裂筋の一区画が何らかの症状を呈しているということになります。

コンパートメント症候群の概要

コンパートメント症候群 “compartment syndrome”、または筋区画症候群は、上肢または下肢のコンパートメント(筋区画)の内圧上昇により循環障害がおこり、筋や神経の機能障害が生じることをいう。

つまり、多裂筋区画の内圧が上昇した結果、痛みや何らかの障害が発生することといえます。

多裂筋区画の内圧が上昇する原因

大きく2つに大別されています。

  • 脊椎手術後内圧上昇"Acute compartment syndrome"
  • 変形後弯による筋内圧上昇"Clonic compartment syndrome"

まず、脊椎手術後内圧上昇とは、簡単にいうと手術侵襲により、炎症や腫脹が生じることによる内圧上昇を意味しています。

この場合、炎症が落ち着くまで安静にすることや、寒冷療法、軽運動などが適しています。

今回は「変形後弯による筋内圧上昇」に焦点をあてお話させていただきます。

Lumber Degenelative Kyphosis(LDK)

このような単語を聞いたことはあるでしょうか?

簡単にいうとおばあちゃん、おじいちゃんのような姿勢のことです。

上半身重心が大転子より前方に位置して、膝関節は軽度屈曲位、足関節は軽度背屈位となり、股関節は伸展位(骨盤は後傾位)に位置するような姿勢のことです。

このLDKにはある症状が出現する場合があります。それは腰痛性間欠跛行です。

聞いたことあるような名前ですが、脊柱管狭窄症の症状(馬尾性間欠跛行)と間違わないよう注意してください。もちろん、症状や病態も違います。

LDKによる腰痛性間欠跛行の診察基準

  • 長時間の立位・歩行による体幹前傾化
  • 腰部の鈍痛や重だるい感じ
  • 腰椎伸展による症状の改善
  • 安静時や動作時痛はほぼない
  • 下肢神経症状を認めない

つまり、馬尾性間欠跛行は腰を反ったりすると症状が増悪し、さらに下肢神経症状を認めるのに対して、腰痛性間欠跛行は上記のように腰を反ると楽になり、かつ下肢神経症状は認めないのが大きな違いになります。

姿勢変化における腰部伸筋内圧

竹光ら1)は、「前屈労働姿勢では腰部伸筋内圧が150mmHg以上の高い値を示し、筋内毛細血管の閉塞による阻血状態が生じうる。
病理組織的検索では筋の慢性的な虚血あるいは低酸素状態が筋線維と筋内神経に障害を及ぼしたことを強く示唆した。
すなわち、過剰内圧により腰部伸筋変性が誘発され、それが腰部変性後弯姿勢および腰痛発生の引金として重要な役割を果たしている可能性が高い。」

と報告しています。

つまり、前屈労働姿勢(いわゆるLDK)の患者様ではそのような症状が出現すると示唆されているのです。

腰部伸筋内圧が上昇する原因

  • 筋収縮によるもの
  • 筋膜の伸張、つまり外壁の硬度が高くなるもの(筋収縮よりも内圧は上昇する)

LDKによる腰痛性間欠跛行の治療法

  • 脂肪変性した組織は戻らないが、残っている筋線維を回復させる
  • 腰部伸筋内圧のコントロール

腰部伸筋内圧のコントロール

多裂筋に圧痛所見などがあり、筋攣縮(筋スパズム)が生じているならリラクセーションなどで軽減させていきます。

また、筋膜いわゆる外壁の硬度を落としてあげる(マッサージ、ホットパックなど)ことで内圧の軽減を図っていくことも重要になってきます。

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引用文献

1)竹光義治(1993)「ヒトの動的姿勢保持能力に及ぼす脊柱・下肢関節退行変性の影響」.

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