労作性狭心症とは?発症機序やリハビリ、リスク管理のポイントは?

狭心症

労作性狭心症の概要

運動(労作)をすることで心臓は安静にしているときより働きますが、それと同時に栄養分の酸素もたくさん取り込まなければなりません。

しかし、労作性狭心症では動脈硬化などによる冠動脈狭窄により一過性に酸素を心臓へ送ることができなくなるため、心筋の虚血状態に陥って狭心痛が発生する疾患です。この心筋の虚血は可逆的であり、心筋の壊死は生じないことが特徴です。

労作性狭心症のメカニズム

前述しましたが、冠動脈の狭窄によって運動時に必要な酸素を心臓へ送り届けることができないことで心筋が虚血状態に陥り、狭心痛が生じる疾患です。

運動をして心臓が酸素を必要とする量が増えると、正常の冠動脈では血管内皮由来の弛緩因子であるPGI2(プロスタグランジン2)NO(一酸化窒素)、交感神経作用によって血管が拡張し、血流を増加させます。

しかし、労作性狭心症のように血管が狭窄していると、血管の拡張と血流の増加が生じないので心筋は虚血状態に陥ってしまうといわれています。

労作性狭心症の症状

主な症状として

  • 狭心痛
  • 心窩部痛
  • 左肩~左上肢にかけての疼痛(放散痛)
  • 顎や歯の疼痛(放散痛)

が挙げられます。

その他に呼吸困難も出現する場合があります。心窩部痛は胃潰瘍などの疾患との区別が必要になってきます。

労作性狭心症の治療法

主な治療は薬物治療になります。発作時には硝酸薬(ニトログリセリン)を舌下投与します。

発作が出現していないときは予防として

  • 硝酸薬(冠動脈の拡張、前負荷の軽減)
  • Ca拮抗薬(冠動脈の拡張、後負荷の軽減)
  • β-遮断薬(心筋酸素需要の軽減)
  • 抗血小板薬(血栓形成の予防)

を服用することになります。

労作性狭心症のリハビリテーション

狭心症の発生メカニズムとして、動脈硬化などによる冠動脈の狭窄が生じることで心筋が酸素不足に陥ると述べました。

リハビリテーションによる運動療法では動脈硬化を起こした狭窄程度そのものが改善するエビデンスは確認されていませんが、血管拡張能(血管内皮機能)は改善できると報告されています「冠動脈血管内皮機能の改善:エビレンスレベルB」

運動療法で血管の柔軟性を高める

血管を柔らかくする物質として、主に血管内皮細胞から作られるNO(一酸化窒素)PGI(プロスタグランジン)があります。特にNOに関しては血管内皮細胞から作られるeNOS(一酸化窒素合成酵素)という物質によって合成されることが知られています。

運動によって血流量が多くなり血流速度が上昇すると血管内皮細胞が壁ずり応力(シェアストレス)を感知して、eNOSが活性化されるのです

eNOSの活性化によりNOはより多く合成されるため、血管は拡張しやすくなり柔らかくなることが報告されています。

つまり、冠動脈疾患の患者ではNOが作られにくいために血管の拡張能が低下しているのですが、運動療法により血管の拡張能を改善できるのです。

労作性狭心症のリスク管理

運動強度は虚血症状が出現する80%程度を上限として、Karvonenの式〔(最高心拍数-安静時心拍数)x(0.4〜0.6)+安静時心拍数〕や自覚的運動強度Borg指数11〜13を指標に設定していくことが推奨されています。

図 自覚的運動強度Borg指数

心電図モニターがあるのなら、モニター観察をしながら運動療法を実施することが望ましいです。また心電図モニターがない場合は運動時にしっかり脈を確認して、リズムを確認することが重要になってきます。

というのも心筋梗塞後や狭心症患者の場合、運動後に脈のリズムが乱れてしまうのは運動誘発性の不整脈であることが多く、これは心筋虚血を表していることが多いので、すぐに中止する必要があるのです。

モニター心電図がある場合は虚血性のST低下に注意が必要です。

虚血性のST低下の種類

  • J型
  • 水平型
  • 下降傾斜型

一般的には水平型もしくは下降傾斜型で1mmV以上のST低下が認められた場合に運動療法を中止とします。

また、ST低下が出現しないからといって虚血が誘発されていないとは限らないことから症例ごとの冠動脈病変の評価を十分に実施することが重要かつ原則となります。

まとめ4ポイント

1. 労作性狭心症は心筋の壊死は生じない。
2. 運動療法によりNOが多く合成され、血管拡張能の改善が期待できる。
3.運動誘発性の不整脈は心筋虚血を表していることが多い。
4. 心電図モニターでは水平型もしくは下降傾斜型の1mmV以上のST下降に注意する。
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