異型狭心症の疾患知識とリスク管理について解説

異型狭心症

異型狭心症の概要

心臓を栄養する血管である冠動脈の攣縮※1によって冠動脈が一過性に閉塞することで心筋虚血が生じる疾患です。

※1冠動脈の攣縮:冠攣縮ともいわれており、主に心臓の表面を走行している太い動脈に生じる過剰な収縮のことです。

喫煙する人や酒飲みに好発するといわれています。特に喫煙は冠動脈の攣縮をきたす危険因子であるとされています。

また、労作性狭心症との違いとして、安静時に発作が生じるということと、心電図でST上昇を示すことが挙げられます。

異型狭心症の発生メカニズム

主に冠動脈の攣縮は動脈硬化(血管内皮障害)が原因といわれています。即ち血管内皮細胞から作られるNO(一酸化窒素)の産生不足が関連しているということです。

安静時には副交感神経優位となることで、アセチルコリンが分泌されてムスカリン受容体※2が刺激されます。

※2ムスカリン受容体:アセチルコリン受容体の一つで、主に副交感神経に作用する受容体です。

このムスカリン受容体が刺激されると、正常では血管内皮細胞と血管平滑筋細胞の双方に働いて全く逆の作用を示すことが知られています。

つまり正常では血管内皮細胞に対しては血管の拡張を、血管平滑筋細胞に対しては血管の収縮を促すのです。

しかし、動脈硬化により血管内皮障害を有していると強力な血管弛緩作用であるNOの産生が低下しているため、血管拡張作用が減弱しますが、血管平滑筋細胞に対しては正常通り収縮作用を示すので、結果的に冠動脈は過収縮して冠攣縮が生じるのです。

異型狭心症の症状

主に安静にしている夜間~早朝、安静時に数分~15分程度の前胸部痛が出現します。

労作性狭心症と比較して症状の持続時間が長いことが挙げられます。

異型狭心症の治療法

主な治療は薬物治療になります。発作時には労作性狭心症と同様、硝酸薬(ニトログリセリン)を舌下投与します。

発作が出現していないときは予防として、

  • 長時間作用型硝酸薬
  • Ca拮抗薬
  • ニコランジル

を服用して冠攣縮の予防に努めます。

β-遮断薬を服用しない理由

労作性狭心症では予防として、β-遮断薬を服用しますが、異型狭心症での服用はしないとされています。

その理由として、β2受容体には血管の弛緩作用があるためにその受容体を遮断してしまうと弛緩できずに冠攣縮を助長してしまう恐れがあるためです。

労作性狭心症の場合は相対的な心筋酸素需要量の増加なので、β受容体の遮断によって心拍出量を抑え、心筋の活動を抑えることで酸素需要量は低下して症状は和らぎます。

異型狭心症のリハビリテーション

発生メカニズムとして、血管内皮障害により冠動脈の攣縮が生じることで心筋が酸素不足に陥ると述べました。

リハビリテーションによる運動療法では動脈硬化を起こした狭窄程度そのものが改善するエビデンスは確認されていませんが、血管拡張能(血管内皮機能)は改善できると報告されています。「冠動脈血管内皮機能の改善:エビレンスレベルB」

血管を拡張する物質として、主に血管内皮細胞から作られるNO(一酸化窒素)やPGI(プロスタグランジン)があります。

特にNOに関しては血管内皮細胞から作られるeNOS(一酸化窒素合成酵素)という物質によって合成されることが知られています。

運動によって血流量が多くなり血流速度が上昇すると血管内皮細胞が壁ずり応力(シェアストレス)を感知して、eNOSが活性化されるのです

eNOSの活性化によりNOはより多く合成されるため、血管は拡張しやすくなり柔らかくなることが報告されています。

つまり、冠動脈疾患の患者ではNOが作られにくいために冠動脈の攣縮が生じているのですが、運動療法により血管の拡張能を改善できるのです。

リスク管理

運動強度は虚血症状が出現する80%程度を上限として、Karvonenの式〔(最高心拍数-安静時心拍数)x(0.4〜0.6)+安静時心拍数〕や自覚的運動強度Borg指数11〜13を指標に設定していくことが推奨されています。

図 自覚的運動強度Borg指数

心電図モニターがあるのなら、モニター観察をしながら運動療法を実施することが望ましいです。また心電図モニターがない場合は運動時にしっかり脈を確認して、リズムを確認することが重要になってきます。

というのも心筋梗塞後や狭心症患者の場合、運動後に脈のリズムが乱れてしまうのは運動誘発性の不整脈であることが多く、これは心筋虚血を表していることが多いので、すぐに中止する必要があります。

まとめポイント

1. 心電図では労作性狭心症と違ってST上昇がみられる。
2. 安静にすることで誘発される。
3. NO産生不足が冠攣縮を誘発する。
4. β-遮断薬は服用しない。
5. 運動により血管内皮機能を改善できる。
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