心筋梗塞とは?症状や心電図、リハビリ方法について解説

心筋梗塞

心筋梗塞の概要

不安定狭心症と似ていて、不安定プラークが破綻し、急激な冠動脈の閉塞によって心筋にまで影響し、壊死を引き起こした状態のことをいいます。

※不安定狭心症では心筋壊死まで引き起こさない。

心筋梗塞のメカニズム

不安定狭心症の症状や発生メカニズムについて」の記事でも説明しましたが、不安定狭心症や急性心筋梗塞の原因として不安定プラークの存在が挙げられます。

不安定プラークとは血管内膜と外膜の間にコレステロールなどが入り込んで非常に柔らかく破綻しやすいものですこれが破綻することにより血栓を形成して、血管の狭窄・閉塞が急速に進行してしまいます。

大動脈のような太い動脈では、このプラークが血管を狭窄することはないのですが、冠動脈のような中型動脈では内腔の狭窄や閉塞を引き起こしてしまいます

すなわち不安定プラークの破綻により、血流が減少して心筋まで壊死してしまうのが急性心筋梗塞なのです。

急性心筋梗塞の症状

  • 労作時・安静時の前胸部痛
  • 胸骨後部の胸痛
  • 下顎、頸部への放散痛
  • 左肩もしくは両肩への放散痛
  • 心窩部痛

時間としては長く、だいたい20分程度の胸痛が出現します

急性心筋梗塞の所見

聴診

心収縮、拡張能の低下により、Ⅲ音Ⅳ音が聴こえます。

Ⅲ音、Ⅳ音の音

Ⅲ音、Ⅳ音は過剰心音と呼ばれる音のことです。本来、正常ならばⅠ音とⅡ音のみ聴こえて、Ⅲ音とⅣ音は聴こえません。

では、なぜ聴こえるかといいますと、心臓の拡張性が障害されているからです

Ⅲ音は拡張期の初期に、Ⅳ音は拡張期の末期に心臓の壁にぶつかって聴こえます。

つまり、心臓に拡張性があれば心房から心室に送られてきた血液の衝撃を緩和することができますが、拡張性がないので衝撃を緩和することができず、心臓の壁にぶつかる音としてⅢ音とⅣ音が聴こえるのです。

心筋梗塞を発症すると心筋が薄くなり(拡張型心筋症)ビロンビロンの状態になりますので、拡張性が障害されて、過剰心音が聴こえると言われています。

心電図所見

発症直後はT波増高ST上昇がみられます。

2~6時間後には異常Q波がみられます。

数日経てばT波は逆転(冠性T波)し、STは復帰しますが異常Q波は残っています。

1~4週間には冠性T波異常Q波がみられたままになります。

そして、1年以降でも異常Q波は残ります

心筋梗塞のリハビリテーション

心疾患の再発予防QOLの改善を目的とした考えに沿ったリハビリテーションをしていくことが大切です。また、心筋梗塞後は精神的に不安定な状態なので、カウンセリングなどを受けて精神面にもアプローチをしていく必要があります。

心疾患の再発予防とは冠動脈危険因子(以下、冠危険因子)を減らすことにあります冠危険因子とは、高血圧や高コレステロール血症、喫煙、糖尿病、肥満、運動不足、加齢、家族歴、ストレスのことを指します。

これらの冠危険因子が動脈硬化をさらに促進させる可能性がありますので、減らしていくことが大切なのです。

冠危険因子を減らす方法

その答えは、「運動療法」です。

心疾患リハビリテーションガイドラインでは、運動療法によって軽度の降圧や脂質異常の改善、耐糖能の改善、喫煙率の減少効果をもたらすと報告しています。

  • レジスタンストレーニング
  • 有酸素トレーニング
  • サーキットトレーニング
  • インターバルトレーニング

これらの運動療法を行う際には、中等度での強度が推奨されています。

中等度の強度とは、最大心拍数の55%〜70%、もしくはカルボーネン法のk=0.4〜0.6ぐらいとされています。

※最大心拍数=220-年齢
※カルボーネン法=(最高心拍数-安静時心拍数)x(0.4〜0.6)+安静時心拍数

レジスタンストレーニング

レジスタンストレーニングとは、いわば筋力トレーニングのことですが少し意味合いが違うのです。

参考 筋力トレーニングのメカニズムと効率の良い方法

以前は筋力トレーニングと呼ばれていましたが、そのトレーニングには筋持久力要素も合わさっているとの考えからレジスタンストレーニングと呼ばれることが多くなりました。

具体的には、ウェイトマシーンやフリーウェイト、ゴムチューブや自重などを使って抵抗を加えることで筋肥大や神経系の活性化を引き起こし、筋機能を高めていきます。

このトレーニングを行う際には、いきむようなバルサルバ手技を避けて自覚症状を適宜モニタリングしながら実施することが大切です。

有酸素トレーニング

有酸素トレーニングとは、原則として大きな筋肉を使ったリズミカルな運動のことをいいます。具体的には、走行や歩行、サイクリング、水泳などです。

走行や水泳などは難しい場合があるので、臨床でよく用いられるのは歩行やサイクリングになります。サイクリングは自転車エルゴメーターを使用して行われることが多いです。

こちらも前述した中等度の強度を維持しながら無理なく行える程度で継続的に実施できる運動を選ぶことが大切です。

サーキットトレーニング

サーキットトレーニングとは、軽い負荷の複数のレジスタンストレーニングの合間に休憩は入れずに続けて行うトレーニングのことです。

インターバルトレーニング

インターバルトレーニングとは、高い負荷の運動の合間に軽い負荷の運動を交えながら繰り返すトレーニングのことです。

サーキットトレーニングやインターバルトレーニングの効果として、心筋収縮力の増強やpeak VO2の増加、ミトコンドリア合成の増加などの研究報告は多々見受けられるようになりましたが、まだエビデンスとしては十分とはいえないために今後さらなるエビデンスの蓄積が必要とのことです。

前述した運動療法は組み合わせて行うと、さらに効果が高くなりますので、リスク管理を行いながら患者様個々にあった運動の種類を選定、処方していくことが重要になります。

今日のリハゴリ

  • 不安定プラークの破綻で心筋が壊死した状態を心筋梗塞という。
  • 心電図で発症直後はST上昇して、その後は異常Q波が残り続ける。
  • リハビリテーションでは再発予防に視点を置いた運動療法を実施する。
参考書籍

1)心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版)

2)岡庭豊(2016)「病気がみえる vol.2循環器 第3版」pp.94-101, メディックメディア.

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