発作性上室頻拍(PSVT)の疾患知識について解説

発作性上室頻拍

発作性上室頻拍(PSVT)の概要

通常はペースメーカーである洞結節から房室結節へ興奮が伝わって心室へ興奮が伝わっていきます。しかし、通常とは異なる回路(リエントリー回路)が生じて期外収縮が引き金となって、興奮がグルグルと素早く旋回してしまうことがあります。

これをリエントリー現象といいます。

発作性上室頻拍の場合、房室結節や副伝導路を介するリエントリーによるものです。

※これだけ読んでもよく分からないと思いますので、後述するメカニズムを確認してください。

発作性上室頻拍のメカニズム

発作性上室頻拍とひとくちに言っても、主に2つの種類があります。

PSVTの60〜70%もの割合を占める房室結節リエントリー頻拍(AVNRT)、残りの20〜30%を占める房室回帰頻拍(AVRT)です。

※実際には10%程度の割合を占める洞結節リエントリー頻拍(SNRT)などがありますが、今回は省略させていただきます。

房室結節リエントリー頻拍(AVNRT)

房室結節付近には伝導速度の違う速伝導路と遅伝導路の2つがありまして、正常では速伝導路を通って、心室へ興奮が伝わります。

しかし、速伝導路が不応期のときに何らかの原因で期外収縮が起こると、興奮は速伝導路を通ることができずに遅伝導路を通ります(これは遅伝導路は不応期時間が短いために、速伝導路よりも先に不応期を抜けていることで生じる現象です)。

※脱分極(興奮)した細胞はすぐに興奮せずに一定の時間、刺激に対して無反応です。この無反応の期間のことを不応期といいます。

すると、A地点に興奮が伝わると同時に速伝導路はタイミング良く不応期を抜けているので、逆行性に速伝導路へ興奮が通って行きます。

このように、反時計回りにグルグルと旋回してしまう(リエントリー現象)ことで、房室結節リエントリー頻拍(AVNRT)は生じます。

AVNRTの心電図

AVNRT心電図の特徴としまして、心室と心房の興奮がほぼ同時期になるため、P波がQRS波に埋もれてしまい、見られないことです。

房室回帰頻拍(AVRT)

本来、房室結節からの興奮はヒス束を介して右脚・左脚を通り、左右のプルキンエ線維から心室へ興奮が伝わります。しかし、心房と心室を直接繋いでいる副伝導路(Kent束)が存在する例があります。

この場合、心房の興奮は房室結節以下の部位を飛ばして即効、心室へ伝わるので、心室の早期興奮が問題となってきます。ただ、問題はこれだけではなく、副伝導路があることで房室回帰頻拍(AVRT)が生じてしまうのです。

なぜかといいますと、正常の洞調律では副伝導路が不応期ではないので、順行に興奮が生じます。

しかし、期外収縮が生じたときには副伝導路が不応期で、不応期を脱したときにちょうど心室からの興奮が伝わり逆行してしまうことでリエントリーになってしまいます。

図 房室回帰頻拍(AVRT)の発生機序1)

AVRTの心電図

AVRT心電図の特徴としまして、心室興奮後に心房が興奮するのでQRS波の後に下向きの逆行性P波が見られます。

これはⅡ・Ⅲ・aVF誘導で見られます。

PSVTの治療法

もしリハビリ中に発作性上室頻拍(PSVT)が出現した場合どのように対処したら良いか記載していきます。PSVTの治療法の一つとして「迷走神経刺激法」というのがあります。

これは迷走神経を刺激すると房室の伝導が抑制されるという性質を基に考案された治療法です。

迷走神経刺激法は以下の3種類があります。

  • 顔面浸水
  • バルサルバ手技
  • 頸動脈洞圧迫

顔面浸水

顔面浸水とはその名の通り、冷水に顔をつける方法です。冷水に顔をつけることで三叉神経が刺激され、顔面を浸水させてる間は息を堪えますので、これにより迷走神経が刺激されるといわれています。

しかし、リハビリ中において周囲に冷水などないことが多いですし、何より見た目がよろしくないので、通常は用いないことの方が多いです。

あくまで私は未だ実施したことがありません。

バルサルバ手技

バルサルバ効果、バルサルバ法などで一度は聞いたことがあると思いますが、簡単にいうと息を止めることです。

息を止めることで、胸腔内圧は上昇するのを圧受容体が感知して、迷走神経が刺激されるという性質を用いた方法になります。

これはすぐにでも簡単に実施することができますので、実施されることが多いのではないでしょうか。

ただし、息を止める時間が長すぎると、失神してしまう可能性があるため、あくまで患者様が我慢できる程度の時間で実施すると良いでしょう。

頸動脈洞圧迫

これは頸動脈洞を圧迫することで直接、頸動脈の圧受容体に刺激を加え、迷走神経刺激を誘発する方法です。

一見、簡便で実施しやすそうですが、高齢者の場合において脳塞栓のリスクがあるといわれていますので、高齢者の場合は実施しない方が良いかもしれません。

まとめ4ポイント
PSVTはAVNRTとAVRTが大多数である。
AVNRTは速伝導路が不応期の時に期外収縮が生じることによって、遅伝導路へ興奮が伝わって、それが逆行性に速伝導路へと伝わることでリエントリーとなる。
AVRTは副伝導路(Kent束)が不応期の時に期外収縮が生じることによって、心室から逆行性に副伝導路へと興奮が伝わることでリエントリーとなる。
PSVTの治療法としてはバルサルバ手技が簡便で用いやすい。
引用画像、参考書籍

1)岡庭豊(2016)「病気がみえる vol.2循環器 第3版」pp.114-117, メディックメディア. 

ぜひ、読みたいオススメの本!

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