洞不全症候群の疾患知識とリスク管理について解説

洞不全症候群

洞不全症候群(SSS)の概要

不整脈の中で徐脈(脈が1分間に60回以下)になるものとして、房室ブロックと洞不全症候群(SSS)があります。

洞結節の活動が鈍くなると極端に脈が遅くなり、またその周囲の障害によって、高度の徐脈や洞房ブロック、洞停止を引き起こしてしまう不整脈のことです。

この洞不全症候群(SSS)はRubenstein(ルーベンスタイン)によって下の3つのタイプに分類されています。

  • 持続性の洞性徐脈
  • 洞房ブロック、洞停止
  • 徐脈頻脈症候群(bradycardia-tachycardia syndrome)

洞不全症候群(SSS)の症状

洞不全症候群(SSS)の典型的な症状として、めまいや失神があります。

その他にも、下記のような症状が出現する場合もあります。

  • 眼前暗黒感
  • 息切れ
  • 易疲労感
  • 心不全 etc…

Rubenstein分類において、Ⅰ型は息切れを、Ⅱ・Ⅲ型はめまいや失神、意識消失などを呈することが多いとされています。

夜間睡眠中におこる場合は無症状で経過することもありますが、日中にこれらの脳虚血症状により転倒した場合には重大な頭部外傷をもたらす危険もあります。

これらの症状が出現したときの心電図を記録・確認することで洞不全症候群(SSS)と判断できます。そして洞不全症候群(SSS)によるものと判断されたときにペースメーカーの適応となります。

洞不全症候群(SSS)はペースメーカーの適応となる疾患なのです。

洞不全症候群(SSS)の原因

原因として、一番多いのが加齢による洞結節やその周囲の線維化による伝導障害です。

この他の原因として、虚血性心疾患(狭心症心筋梗塞)、先天性心疾患、高血圧などもあります。また、慢性的な腎機能低下による電解質異常などによっても引き起こされることがあるみたいです。

ただし、90%以上は原因が特定できないともいわれています。

洞不全症候群(SSS)の治療

症状が軽い場合には薬剤(アトロピン、イソプロテレノール、オルシプレナリン)を使用して、洞結節の興奮頻度を増加させる治療をします。

ただし、このような薬剤治療は簡単な反面、ペースメーカー治療と比較すると心拍数の微調整が難しいので、安定した効果を得ることが難しいとされています。

そして、前述しましたが薬剤治療によっても徐脈が改善されなかったり、薬剤治療を中断すると症状が悪化してしまうケースではペースメーカーの適応となります。

洞不全症候群(SSS)の特徴的な心電図

洞不全症候群(SSS)の心電図でもRubenstein分類によってⅠ型・Ⅱ型・Ⅲ型に分けて考えることになります。

Ⅰ型では心拍数(HR)が1分間に50回以下の徐脈ですので、下の図のようにR-R間隔が広がる心電図を示すことになります。

心電図

SSS Ⅰ型の心電図1)

次にⅡ型ですが、SSS Ⅱ型の特徴は洞房ブロックまたは洞停止が出現することですので、下の図のように洞結節からの刺激が心房へ伝導されず心室も興奮しない波形となります。つまり、PQRSTの波形が出現しないということになります。

ここで、洞房ブロックと洞停止の心電図波形は同じようになるのかという疑問が湧いてくると思います。洞房ブロックと洞停止の心電図波形の違いはPP間隔をみることで分かります。

下の図で3〜4拍目のPP間隔と洞調律時(2〜3拍目)のPP間隔をみたときに、3〜4拍目のPP間隔は2〜3拍目のPP間隔のちょうど2倍になっていることがわかると思います。

洞不全症候群の心電図

SSS Ⅱ型の心電図(洞房ブロック)1)

対して、洞停止の場合はちょうど2倍とかの整数倍ではなく非整数倍で不規則なPP間隔を表します。

洞不全症候群の心電図

SSS Ⅱ型の心電図(洞停止)1)

最後にⅢ型ですが、SSS Ⅲ型は徐脈頻脈症候群を呈することです。

徐脈頻脈症候群とは洞結節の機能と右心房の機能が同時に低下することで、発作性上室頻拍(PSVT)心房細動(AF)の頻脈疾患を、そして洞房ブロックや洞停止などの心停止も認められ、頻脈と徐脈が交互に生じてしまう疾患のことです。

つまり、心電図波形では下の図のように最初は頻脈が出現していますが、突如心停止が出現してしまいます。

洞不全症候群の心電図

SSS Ⅲ型の心電図1)

SSS Ⅲ型の場合、心停止の時間が長かったり、失神がある場合には人工ペースメーカーの適応となります。

洞不全症候群のリスク管理

基本的に運動を行って心拍数(HR)がしっかりと上昇してくるのであれば、適宜バイタルサインと自覚症状の有無を確認しながら行うことができます。

しかし、徐脈や房室ブロックを罹患している場合、運動終了後に気をつけなければなりません。

どういうことかといいますと、運動終了後は交感神経優位から副交感神経優位になり、一過性に心拍数(HR)が低下するので、低血圧症状や意識が消失してしまう恐れがあるのです。

なので、運動を急に止めるのではなくクールダウンなど軽い運動を最後に取り入れたりする工夫が必要になってきます。

引用画像、参考書籍

1)岡庭豊(2016)「病気がみえる vol.2循環器 第3版」pp.133-135, メディックメディア.

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