肩こりを楽にするための3つのポイントを解説

肩こり

はじめに

肩こりは「日本の国民病」とも言われるほどで、必ず一度は経験したことがあるといっても過言ではないくらい訴える方が多い症状の一つです。

平成22年国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)では、「腰椎」に次いで「肩こり」が二番目に訴えが多い症状であると報告されています。中でも男性と比較して女性の方がより「肩こり」の訴えが強いこともわかります(下図参照)。

肩こり

性別にみた有訴者率の上位5症状1)

このように肩こり症状は少なからず有している方は多いことから、肩こりを改善させる対策は極めて重要なのです。

特に肩こりの原因となる一つに「姿勢不良」があり、これは姿勢評価を得意とする理学療法士が肩こりの症状改善に関与できるので、今回は姿勢不良に焦点をあてた改善策について記載していきたいと思います。

肩こり患者の特徴と評価

肩甲骨の動きと体幹回旋角度を診る

肩こり患者の前方リーチ動作の特徴として、肩甲骨(肩甲胸郭関節)の外転量が正常の人と比べて多かったという報告があります。本来、前方リーチ動作を行う際には肩甲骨だけではなく、体幹も回旋していきます。

そのため、肩こり患者で肩甲骨の外転量が有意に多かったということは体幹の回旋量を肩甲骨の外転量で代償しているということが考えられます。

つまり、肩こり患者では体幹の回旋が出づらい環境にあるということが推察されます。

不良姿勢について診る

肩こり患者では座位と立位で僧帽筋上部線維や肩甲挙筋の筋緊張が変化していることが臨床上多くみられます。

これは下肢のアライメント変化に左右差が生じた結果、僧帽筋上部線維や肩甲挙筋の筋緊張が高くなってしまうことが考えられます。

どういうことかといいますと、肩こり側の足部の回内が生じると、運動連鎖で下腿は内旋、大腿(股関節)は外旋します。

大腿(股関節)の外旋により肩こり側の骨盤は後傾することで非肩こり側への側方移動が生じ、骨盤は肩こり側へ挙上していきます。すると、体幹は肩こり側へ傾斜しますので、鎖骨や肩甲骨の高さに左右差が生じることになります。

つまり、肩こり側の鎖骨や肩甲骨が低くなるため、それらに付着している僧帽筋上部線維、肩甲挙筋は伸長され、筋緊張が亢進してしまうのです。

また、肩こり側の鎖骨や肩甲骨が下がるということは、その上に連なっている頚椎や頭部も肩こり側へ傾斜してしまい、左右の目の高さが変化することになります。

この変化に対してヒトは高さを揃えるよう調整しますが、さらに僧帽筋上部や肩甲挙筋が伸長されるためにより筋緊張が亢進してしまい、肩こりの原因になっているのです。

肩こりの治療法

方法1 肩甲骨–胸椎協調性運動

本来、肩甲骨の外転量を少なくして前方リーチを行おうとするには、肩甲骨を胸郭上にしっかりと安定させることが必要になります。

そうすると、前方リーチ時に肩甲骨の外転運動が先行せずに体幹の回旋によって動作を遂行することができます。

そのため、肩甲骨と胸郭間の関節、すなわち肩甲胸郭関節を協調させるようなトレーニングが必要になってきます。具体的には、体幹をどちらかに最大回旋させ、その後に両肩甲骨を逆方向に動かしていきます。

つまり、体幹を右へ最大に回旋させた場合、左肩甲骨は内転方向へ、右肩甲骨は外転方向へ動かしていくことになります。

方法2 脚長差の改善

前述したように足関節の回内による機能的脚長差が原因となって肩こり症状を誘発してしまう場合があります。

この場合、機能的脚長差が生じている足底へ厚さ1.5〜2mm程度のモノを敷いて立位をしてもらうと肩こり症状が軽減していきます。

この機能的脚長差が生じてしまっている原因として、足関節の回内が一番の要因として推察されるのならば、足関節の回内アライメントに対してアプローチをすることが肩こり症状軽減のために必要な治療になります。

方法3 股関節の適合性改善

骨盤の後傾位はその上位アライメントに悪影響を及ぼし、その結果、肩こり症状が誘発されてしまうと記載しました。

骨盤が後傾位である場合、その肢位の制動に二関節筋である大腿直筋が活動してしまい、臼蓋と大腿骨頭の適合性も悪化してしまいます。

そもそも骨盤後傾位であると前額面上の制動に大きな役割を担う中殿筋の筋長も短縮してしまい、荷重しにくくなってしまいます。

そのため、治療では側臥位で骨盤前傾位を保持した状態で中殿筋を選択的に収縮させるトレーニングを反復的に実施して、中殿筋の促通を行うとともに正常な臼蓋と大腿骨頭の位置関係も再学習させることが必要になります。

引用画像・参考書籍

1)厚生労働省「平成22年国民生活基礎調査の概況」

2)福井勉(2014)『ブラッシュアップ理学療法-88の知が生み出す臨床技術 第1版』pp.41-43, 三輪書店.

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