失語症と注意障害の疾患知識について解説

失語症 注意障害

今回は前頭葉の障害によって出現する失語症(ブローカ失語)、注意障害に関して詳しく記載していきたいと思います。

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出力の障害
失語症(ブローカ失語)の概要

ブローカ失語とは日本語でいうと運動性失語のことで前頭葉に位置しているブローカ野の障害によって出現します。

会話の流れとしまして、「話を聞いて理解して、話す」のですが、ブローカ野の障害では「話す」機能が障害されます。ちなみに「話を聞いて理解する」はウェルニッケ野が担っています。

「話す」機能の障害とは、言葉の意味を理解してるんだけども、上手く伝えることができないということです。

「話す」ときには脳にある言葉の貯蔵庫から正しい音のグループを選び出して発音しますが、正しい貯蔵庫を開けれなかったり、開けることは出来ても順番がバラバラになったりして、スムーズに伝えることができなくなります。

例えば「みかん」と言いたいときに運動性失語がある患者では「みんち」や「かみん」、「みかんみ」などと言ってしまいます。

違音が出る場合「みんち」、順番が逆になってしまう場合「かみん」、余計な音が出てしまう場合「みかんみ」となってしまいます。

これは押さえておきたい
ブローカ失語の病巣

ブローカ失語はブローカ野が損傷を受けることで出現します。ブローカ野とは言語表出の機能を担っているため、損傷を受けるとブローカ失語が出現してしまうのです。

ブローカ野は優位半球(通常は左半球)の下前頭回の後ろに外側溝前上行枝を囲むようにして存在しています。従って、脳画像では外側溝上行枝を特定することができればブローカ野を見つけることができます。

外側溝上行枝とは島の前方から外側へ出てきている溝のことです。(下図参照:矢印部)

失語

失語

①島 ②ブローカ野三角部後部 ③ブローカ野弁蓋部

外側溝上行枝を特定できたら、その前後にあるのがブローカ野になります。少し細かい話になりますが、外側溝上行枝の前方に位置しているのが「ブローカ野三角部後部」で後方に位置しているのが「ブローカ野弁蓋部」となります。

色々ある
失語の種類

一概に失語症とはいっても、様々な種類があります。そこで、「ウェルニッケーリヒトハイムの失語分類」が理解しやすく、覚えやすいのでオススメです。(下図参照)

高次脳機能障害

概念中枢とは前頭前野を始めとした大脳皮質の無数の部位のことで思考を司る部分をいいます。

皮質性感覚失語(ウェルニッケ失語)とは話しかけられたことを理解できず、復唱もできない状態のことです。話すことはできますが、意味不明なことを言ってしまう錯語が特徴的です。

皮質下性感覚失語とは皮質性感覚失語と似ていますが、話すときに錯語がみられないのが特徴的です。

超皮質性感覚失語とは話しかけられたことを理解できずに錯語を発してしまう状態のことですが、復唱はできるのが特徴的です。

皮質性運動失語(ブローカ失語)とは話しかけられたことは理解できますが、自発的に話すことや復唱することができなくなります。また書字も困難になることが特徴的です。

皮質下性運動失語とは皮質性運動失語と似ていますが、書字能力が保持されることが特徴的です。

超皮質性運動失語とは自発的に話すことはできませんが、復唱できるのが特徴的です。

伝導失語とは理解でき自発的に話すこともできますが、錯語がみられることが特徴的です。

発話 復唱 理解 錯語 書字
皮質性感覚失語
(ウェルニッケ失語)
流暢 不良 不良 あり 良好
皮質下性感覚失語 流暢 不良 不良 なし 良好
超皮質性感覚失語 流暢 良好 不良 あり 良好
皮質性運動失語
(ブローカ失語)
非流暢 不良 良好 なし 不良
皮質下性運動失語 非流暢 不良 良好 なし 良好
超皮質性運動失語 非流暢 良好 良好 なし 不良
伝導失語 流暢 不良 良好 なし 良好

リハビリが進みにくい
注意障害の概要

注意機能とは対象を選ぶ「選択性」、注意を持続させる「持続性」、切り替える「転換性」、複数へ注意を分ける「分配性」の4つに分けることができます。

この4つの注意機能が障害されることを注意障害といわれており、簡単にいうと気が散ってしまうことです。リハビリ場面では少しの刺激でも気が散ってしまってなかなかリハビリが進まないことがあります。

この場合、刺激の少ない集中しやすい環境でリハビリをしたり、患者の趣味や好きなものを利用して興味を引き出しながらリハビリをすることが効果的です。また、口頭指示を行うときは簡単な内容をまとめて伝えることが大切です。

注意障害の病巣

注意障害は大脳皮質の前頭連合野(前頭前野)が障害されることで出現します。前頭連合野は「人間らしさ」を司るヒトにとって必要不可欠な細胞なのです。

主な機能として、判断・思考・計画・注意・抑制・コミュニケーションを担っています。

前頭連合野はヒトの大脳の約30%を占めていて、20歳前後でやっと成熟するといわれています。(下図参照)子どもの頃の「わがまま」はこの前頭連合野が未発達のためなのかもしれません。

脳

参考書籍

1)岡庭豊(2012)『病気がみえる vol.7 脳・神経 第1版』pp.139, pp.141-143 メディックメディア.

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