理学療法士による暇つぶしブログ

立ち上がり動作と着座動作の決定的な違いとは?それに対する介入方法は?

立ち上がり、着座

立ち上がり動作について

立ち上がり動作は3つの相に分けることができます。

  • 屈曲相(第1相)
  • 殿部離床相(第2相)
  • 伸展相(第3相)

屈曲相は股関節の屈曲による体幹の前傾によって身体重心を前方へ移動させていく相のことです。

殿部離床相は足関節の背屈が最大になり、膝関節がわずかに前方へ移動して膝関節の伸展によって殿部が離床する相のことです。

伸展相は殿部が離床してから股関節・膝関節ともに同期しながら伸展することによって身体重心を上方へ移動させていく相のことです。

着座動作について

立ち上がり動作ほど研究報告は少なく、相も一定の見解が得られていません。

しかし、大きく2つの相に分けることはできます。

それは立ち上がり同様に

  • 屈曲相(第1相)
  • 伸展相(第2相)

です。

屈曲相は股関節と膝関節の屈曲、足関節の背屈によって身体重心を支持基底面内に留めながら、下方へと移動させていく相のことです。

伸展相は膝関節の屈曲は継続するも股関節は伸展、足関節は底屈へと切り替えて身体重心を後方へと移動させていく相のことです。これは殿部が着床してからの時期になります。

立ち上がりと着座の違いとは?

結論からいうと「足関節の背屈角度」の差です。

着座動作の屈曲相では身体重心を下方へと移動することが目的です。

下方へ移動するために膝関節は屈曲しますが、膝関節だけ屈曲すると後方へ移動してしまいます。

それを防ぐために股関節の屈曲と足関節の背屈を行って身体重心を前方へ移動させることで相殺しているのです。

股関節の屈曲は立ち上がり動作時と比較しても同程度ですが、足関節の背屈角度は着座動作時に、より必要になります。

屈曲相である殿部着床直前には立ち上がり動作のときよりも身体重心を最下降させています。

これは殿部着床のときに衝撃をできるだけ緩和させるためなのです。

着座

着座動作時の筋活動とは?

着座動作の開始初期では身体重心を下方へ移動するのに足関節の背屈機能が必要です。

開始初期の足関節の背屈は前脛骨筋の収縮と下腿三頭筋の弛緩によって遂行されます。

しかし、脳血管障害患者の多くは下腿三頭筋の筋緊張亢進による機能障害で開始初期の足関節の背屈機能が障害されます。

この場合、身体重心を支持基底面内で留めながら身体重心を下方へ移動することができないため、身体重心は急激に後方へ移動してしまい、すぐお尻がついてしまったり、後方への不安定性を呈することになります。

その後、屈曲相が継続していきますが、足関節の背屈を制動するためには下腿三頭筋の収縮が必要になってきます。下腿三頭筋は腓腹筋とヒラメ筋によって構成されているが、特にヒラメ筋の機能が重要であるといわれています。

その理由として、膝関節が屈曲しながら足関節は背屈していくので、腓腹筋の筋長は短縮していき、ヒラメ筋は変わらないためです(ヒラメ筋の方が筋力発揮に有利)。

環境因子からアプローチする方法は?

 

とはいっても高齢者は「治らない機能障害」をもっていることが多く、治療に難渋することが多々あると思います。しかし、上述したメカニズムを知っていれば、機能障害に対する介入だけでなく、環境面からの介入もすることができます。

具体的には、身体重心を下方へ移動させにくい場合は座面の高さを高くしたり、両側に肘掛けなど設置して上肢を用いて動作をするなどです。

今後は高齢者がさらに多くなることが予想されます。

機能障害を治すことはもちろん重要ですが、環境因子も考えながら多面的なアプローチが必要不可欠になってきます。

このように多面的なアプローチを行うためには各動作のメカニズムを基礎として知っておく必要があるのです。

今日のリハゴリ俱楽部

  1. 立ち上がり動作は3相、着座動作は2相に分けられる。
  2. 立ち上がり動作と着座動作の大きな違いは「足関節の背屈機能」である。
  3. 各動作のメカニズムを知ることで、機能障害のみならず環境面などから多面的なアプローチを考えることができる。

参考文献

1)山本吉則(2015)「着座動作」, 関西理学 15:13-16.

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