肺高血圧症の疾患知識とリスク管理について解説

肺高血圧症(PH)とは?

心臓から肺へ血液を送る血管(肺動脈)の内腔が狭小化することによって、肺動脈圧(PAP)が高くなってしまう疾患のことです。

一般に安静時の平均肺動脈圧が 25mmHg 以上と定義されています。

肺高血圧症の病態とは?

前述したように肺動脈圧(PAP)が上昇する病態の総称のことです。

肺動脈圧の上昇は心疾患や肺疾患によって生じるものから原因不明など様々あります。

肺疾患(COPD や間質性肺疾患など)によって肺高血圧症を来した場合は右心不全を引き起こしてしまう場合があります。

なぜかといいますと、肺動脈は右心室からでていますので、肺動脈圧が上昇すると右心室から肺へ血液を送る力がより必要になります。

すると右心室筋はどんどん肥大していって、次第に力を発揮することができなくなるからです。

このように肺疾患が原因で右心不全を来してしまうことを肺性心といいます。

肺高血圧症の症状とは?

基本的に症状が出現したときには肺高血圧症が進行している場合が多いです。

自覚症状としては、労作時呼吸困難や易疲労感が主訴となります。

肺高血圧症の身体所見とは?

右心不全による所見と低酸素血症による所見があります。

右心不全による所見として、

  • 頸静脈怒張
  • 浮腫
  • 腹水

低酸素血症による所見として、

  • チアノーゼ
  • ばち指

があります。

リスク管理はどうすれば良い?

 

これまで肺高血圧症患者の運動療法は失神、心不全、突然死などが危惧されることから、積極的な推奨はされていませんでした。

しかし、近年では運動療法を受けていない群と比較して運動療法を受けた群のほうが耐久性、QOL の向上が報告されてきています。

このような報告結果より、肺高血圧症に対する治療アルゴリズム(2013年)における「エビデンスレベル」は A まで引き上げられました。

肺高血圧症患者では運動を行うと心拍出量の増加によって肺動脈圧が急激に上昇してしまいます。肺動脈圧の上昇により右心に過剰な負荷が加わり酸素運搬に必要な心拍出量が保てず酸素供給が不足してしまいます。

このように肺高血圧患者の運動療法時には失神、心不全悪化、血圧低下などのリスクを十分に理解して取り組まないといけません。

運動前に評価する項目
  • 体重変化
  • 浮腫の確認
運動中にモニタリングする項目
  • 血圧測定
  • 脈拍数
  • SpO2
  • 自覚症状
肺高血圧患者のリハ中止基準1)
自覚症状 修正Borg Scale 5以上

冷汗、倦怠感の出現

血圧 開始時収縮血圧が 80mmHg 以下

実施中に10mmHg 以上の低下

脈圧が10mmHg 以下

心拍数 開始時心拍数が 110 回/分以上

実施中に 120 回/分以上

SpO2 実施中に 85% 以下
その他 不整脈の出現や増加

今日のリハゴリ俱楽部

  1. 肺高血圧症は平均肺動脈圧が 25mmHg 以上と定義されている。
  2. 肺高血圧症の自覚症状としては、労作時呼吸困難や易疲労感が多い。
  3. 肺高血圧症患者のリハビリ時には、各身体所見を診ながら実施する必要がある。

参考文献

1)寺田二郎(2015)「肺高血圧症に対する呼吸リハビリテーション」日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌, 第25巻, 第1号, 41-46.

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