大腿骨転子部骨折のレントゲン評価で重要なポイントとは?

近年、高齢者の増加により大腿骨転子部骨折を受傷する患者様が増加傾向にあります。

リハビリでも大腿骨転子部骨折患者を担当する機会が多いと思います。

しかし、レントゲンを見ても何を評価して良いのかわからないといった声もよく耳にします。

そこで今回は大腿骨転子部骨折のレントゲン評価方法について記載していきたいと思います。

大腿骨転子部骨折とは?

大腿骨転子部骨折とは大転子から小転子にかけて走る転子部分の骨折のことをいいます。

注意
稀に小転子から大転子にかけて走る骨折線がみられることもあります。

転子部骨折

また受傷機転としては低エネルギー外傷、つまり高齢者の転倒による受傷が多い骨折です。

関節包外の骨折なので、骨膜は存在していて仮骨形成が十分に行われるため、骨癒合は比較的良好とされています。

大腿骨転子部骨折の治療法とは?

大腿骨転子部骨折の治療法として原則的に手術療法が第一選択です。

大腿骨頸部骨折と違って近位骨片への血流が保たれやすく骨癒合も比較的良好だからです。

また、重傷時から疼痛も強く、出血量も多いことから手術療法が第一選択とされています。

大腿骨頸部骨折,転子部骨折
大腿骨頸部骨折と転子部骨折の違いとは?両者の決定的な違いとは?

 

手術療法では骨接合術が用いられます。骨接合術には以下の4つ種類があります。

  • CHS(Compression Hip Screw)
  • γ-nail(ガンマネイル)
  • エンダー釘
  • PHN(Proximal Hip Screw)
ガンマネイル
骨接合術 γ-nail法とCHS法とは?エックス線で診るポイントとは?

 

高齢者では長期臥床に伴う廃用症候群が問題となるので、可能な限り早期に手術療法を実施して術後早期から積極的なリハビリテーションを開始することが必要です。

手術療法が第一選択とはいっても骨折の転位がない場合や患者様の全身状態が悪いときには保存療法を選択する場合もあります。

大腿骨転子部骨折の重症度分類とは?

大腿骨転子部骨折の重症度分類では Evans 分類が臨床上よく用いられます。

これは X 線正面像で内側骨皮質の損傷程度、整復操作を行った場合の整復位保持の難易度により分類されます。

evans分類

ちなみに大腿骨頸部骨折の場合は転位の程度により分類される Garden 分類がよく用いられます。

大腿骨転子部骨折のレントゲン評価法とは?

 

レントゲン評価は股関節の正面像(前後像)と軸位像(ラウエンシュタイン像)で行います。今回は股関節正面像に絞って評価をしていきたいと思います。

大腿骨転子部骨折

まず、上図の正面像ですが近位骨片が外転・外旋方向へ、遠位骨片は上外側へ突き上げるように転位していることがわかります。

また、小転子を見てみると骨折していて、上方へ転位しているのもわかると思います。

小転子骨折

上図は股関節 CT の水平断です。

CT 所見からも小転子が骨折して、飛んでしまっているのがわかると思います。

calcar femoral 不連続

上図は γ-nail 施行後の写真です。

一見、きれいに整復されているかのように見えますが、Calcar femoral の連続性は回復しておらず遠位骨片は上方に転位した状態にあります。

つまり Evans 分類では Type1 の Group3 に分類されます。

Calcar femoral とは?
大腿骨頸部内側で骨皮質から内部に向かって垂直方向に突出する高密度の板状構造のことです。

 

calcar femoral

Calcar femoral の連続性が回復していない場合、骨頭に加わる力学的負荷は γ-nail だけで支えられます。

力学的負荷が γ-nail に加わるとスライディング機構により頸部は短縮して安定していきますが、その反面で股関節の動的安定に働く外転筋群や外旋筋群の筋発揮効率を低下させてしまいます。

このように Calcar femoral の連続性が回復していない場合、頸部短縮の過程による疼痛や筋発揮効率の低下により早期機能回復が図れないことが多いため、注意が必要になります。

今日のリハゴリ俱楽部

  1. 大腿骨転子部骨折とは大転子から小転子にかけて走る骨折のこと。
  2. 大腿骨転子部骨折は Evans 分類、頸部骨折は Garden 分類を用いる。
  3. 大腿骨転子部骨折の術後では Calcar femoral の連続性が十分に回復しているかレントゲンで評価することがとても重要である。

 

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