尺骨神経麻痺とは?代表疾患や出現する症状とは?

みなさん一度はなにかの角に肘をぶつけて指先まで痺れた経験はあると思います。

俗にいう「ファニーボーン(おかしな骨)」とも言われていますが、その原因は尺骨神経なのです。

この尺骨神経が麻痺すると感覚障害や筋萎縮などが起こり、日常生活場面での巧緻性などが低下してしまいます。

そこで今回は尺骨神経麻痺に関して、リハビリをする上で知っておく必要がある知識について記載していきたいと思います。

尺骨神経麻痺とは?

尺骨神経が外傷や圧迫、絞扼によって障害される末梢神経障害のことです。

上肢の末梢神経障害で代表的な疾患には、その他に橈骨神経麻痺、正中神経麻痺があります。

橈骨神経麻痺
橈骨神経麻痺とは?代表疾患や出現する症状は?
正中神経麻痺
正中神経麻痺とは?代表疾患や出現する症状とは?

尺骨神経の解剖学

尺骨神経(C7〜Th1)の親元は腕神経叢(C5〜Th1)で、内側神経束から起こり、上腕では後内側を、前腕では尺骨に沿って走行する神経です。

尺骨神経

まず、運動性の神経線維から説明すると前腕近位部では尺骨神経本幹から尺側手根屈筋や深指屈筋を支配する筋枝が分岐して、手掌部では手内在筋である骨間筋や虫様筋、小指球筋を支配する深枝(筋枝)が分岐します。

次に感覚性の神経線維は前腕遠位部で手掌部と手背部の尺側を支配する掌枝(皮枝)と手背枝(皮枝)が分岐します。

分岐した掌枝と手背枝のうち、掌枝のみ尺骨神経管を通過します。

その後、尺骨神経本幹は尺骨神経管を通過して浅枝(皮枝)に分岐して尺骨神経は終枝となります。

尺骨神経支配

尺骨神経麻痺の代表疾患とは?

尺骨神経麻痺を患う代表的な疾患は以下の2つになります。

  • Guyon管症候群(尺骨神経低位麻痺)
  • 肘部管症候群(尺骨神経高位麻痺)

Guyon(ギヨン)管症候群とは?

Guyon 管症候群とは、Guyon 管(尺骨神経管)で尺骨神経が絞扼・圧迫を受ける障害のことをいいます。

ギヨン管症候群

Guyon 管(尺骨神経管)は豆状骨と有鉤骨鉤からなる間隙のことで、その中を尺骨神経が通っています。

引用:恵比寿鍼灸整骨院

尺骨神経管を通過するときに絞扼されるため、その遠位にある深枝(筋枝)や掌枝・浅枝(皮枝)に障害が生じます。

深枝は前述したように骨間筋や虫様筋、小指球筋を支配していますので、環指・小指の DIP および PIP 関節の伸展が困難になります。

すると、手指を伸展させようとしたときに環指・小指の伸展運動ができないため、下図のような特徴的な肢位を示します。

この肢位のことを鉤爪変形(鷲手)といいます。

鷲手

掌枝や浅枝は感覚神経なので、支配領域に応じた部位に感覚障害が出現します。

手背枝は尺骨神経管を通らずに手背部の感覚を司りますので、Guyon 管症候群において手背枝領域の感覚は障害されないのが特徴的です。

ギヨン管症候群

肘部管症候群とは?

 

肘部管症候群とは肘部管の絞扼によって尺骨神経が圧迫される疾患のことです。

肘部管

肘部管とは狭義には尺側手根屈筋の上腕頭と肘頭にまたがる Osborne 靭帯(弓状靭帯)直下のトンネル状構造のことです。

広義には滑車上肘靭帯や尺骨神経溝によって形成されるトンネルも含まれます。


引用:三上カイロプラティック平塚整体院

肘部管内はどこの部位でも尺骨神経が絞扼される原因となりますので、まとめて肘部管症候群といわれています。

肘部管症候群では肘部管以降の尺骨神経に障害が生じてしまいますので、Guyon 管症候群では出現しなかった手背枝領域の感覚障害も出現してしまいます。

つまり、深枝(筋枝)の障害により鷲手を呈し、浅枝や掌枝、手背枝の障害によって各支配領域に感覚障害が出現します。

肘部管

今日のリハゴリ俱楽部

  1. Guyon管症候群では鉤爪変形(鷲手)を呈する。
  2. Guyon管症候群では手背枝は障害されない。
  3. 肘部管症候群では鷲手を呈し、尺骨神経支配のすべての領域に感覚障害が出現する。

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