橈骨神経麻痺とは?代表疾患や出現する症状は?

Saturday night palsy(土曜夜の麻痺)、これは橈骨神経麻痺の別名ですが、聞いたことありますか?

恋人と腕枕をして寝ることが土曜日に多いと思いますが、腕枕をすると橈骨神経が圧迫されて、運動麻痺や感覚異常を来たしやすいことから、この名前がつけられたのです。

今回はそんな橈骨神経麻痺について記載していきたいと思います。

橈骨神経麻痺とは?

橈骨神経が外傷や圧迫、絞扼によって障害される末梢神経障害のことです。

上肢の末梢神経障害で代表的な疾患には、その他に尺骨神経麻痺、正中神経麻痺があります。

尺骨神経麻痺
尺骨神経麻痺とは?代表疾患や出現する症状とは?
正中神経麻痺
正中神経麻痺とは?代表疾患や出現する症状とは?

橈骨神経の解剖学

橈骨神経(C5C7)の親元は腕神経叢(C5Th1)で、腕神経束から起こり、上腕では後面を、前腕では外側を走行する神経です。

橈骨神経

まず、上腕では後方にある橈骨神経溝に沿って下行していき、3つの皮枝を分布します。

その3つの皮枝とは、順に後上腕皮神経、下外側上腕皮神経、後前腕皮神経です。

次に前腕では近位部で橈骨神経浅枝(皮枝)と深枝(筋枝)に分岐します。深枝は回外筋を貫く前に後骨間神経(筋枝)となり、前腕後面を下行していきます。

浅枝(皮枝)は前腕遠位部で手背の感覚を司る背側指神経と手掌の感覚を司る浅枝に分岐して橈骨神経は終枝となります。

橈骨神経麻痺の原因とは?

橈骨神経麻痺を患う代表的な原因は以下の3つになります。

  • 後骨間神経麻痺(橈骨神経低位麻痺)
  • 橈骨神経麻痺(橈骨神経高位麻痺)

後骨間神経麻痺とは?

後骨間神経麻痺とは橈骨神経から分岐した後骨間神経が絞扼されて障害が出現してしまう状態のことです。

橈骨神経

後骨間神経は回外筋の入り口部分にあるFrohse(フロセ)のアーケードというトンネル部で絞扼されることが多いです。

この Frohse のアーケードは移動性がないため、障害を受けやすいのが特徴的です。

Frohse のアーケード
回外筋浅頭の線維性アーチのことで回外筋入口部の狭いトンネル様構造になっている場所です。

フロセのアーケード引用:日本整形外科学会

後骨間神経麻痺は橈骨神経から分岐した後骨間神経単独で障害されるため、後骨間神経支配の骨格筋にのみ筋力低下などの障害が生じます。

後骨間神経支配の骨格筋は以下の6つです。

  • 尺側手根伸筋
  • 長母指外転筋
  • 長・短母指伸筋
  • 示指伸筋
  • 小指伸筋
  • 総指伸筋

つまり、尺側手根伸筋は障害されますが、長橈側手根伸筋は障害されないため、手関節の背屈は可能になります。

しかし、全指の MP 関節に伸展障害が生じるため、下垂指を呈します。
※下垂手ではないことに注意する。

下垂指

感覚については障害されるのは筋枝である後骨間神経のみですので、感覚は障害されません。

橈骨神経高位麻痺とは?

 

橈骨神経高位麻痺とは腋窩部や上腕中央部の橈骨神経溝で橈骨神経が絞扼されて障害が出現してしまう状態のことです。

橈骨神経

前述した「Saturday night palsy」と呼ばれる長時間の腕まくらによって腋窩部や橈骨神経溝を圧迫されることが主な原因になります。

またその他にも上腕骨骨折や肘関節周辺の骨折が橈骨神経を障害してしまうこともあります。

腋窩部や橈骨神経溝で圧迫を受けるとそれ以遠の橈骨神経が障害されるため、前腕に位置する骨格筋はすべて筋力低下などの障害が出現します。

具体的には後骨間神経支配の筋群に加えて、長橈側手根伸筋、腕橈骨筋などです。

つまり、長橈側手根伸筋が障害されると手関節の背屈は困難になるため、橈骨神経高位麻痺の場合には下垂手を呈することになります。

下垂手

感覚について、手背の感覚を司る背側指神経と手掌の感覚を司る浅枝の両者ともに障害されるため、母指・示指・中指の背側、母指球付近の感覚異常が出現します。

橈骨神経

今日のリハゴリ俱楽部

  1. 後骨間神経麻痺では Frohse のアーケードで障害を受け、下垂指を呈する。
  2. 後骨間神経麻痺では感覚異常は出現しない。
  3. 橈骨神経高位麻痺では下垂手する。

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