梨状筋症候群とは?知っておきたい整形外科テスト4選!

今回は下肢痛や殿部痛が出現する坐骨神経麻痺について記載していきたいと思います。

梨状筋症候群とは?

梨状筋症候群とは、梨状筋をはじめとする股関節外旋筋群と坐骨神経との間で生じる絞扼性神経障害のことです。

絞扼性神経障害にはそのほかに足根管症候群や総腓骨神経麻痺などがあります。

足根管症候群
足根管症候群とは?その症状や原因、リハビリ方法とは?
総腓骨神経麻痺
総腓骨神経麻痺とは?症状や原因、効果のある装具療法とは?

坐骨神経は90%の症例が梨状筋下から骨盤を出ますが、程度の症例で梨状筋筋腹を通って出たり、総腓骨神経が筋腹を貫いたり梨状筋上から出ることがあります。

坐骨神経の走行と絞扼部位とは?

坐骨神経の親元は腰仙骨神経叢で大坐骨孔から梨状筋の下を通過して骨盤外に出ていきます。その後、股関節には関節枝を、大腿後面筋には筋枝を出しながら大腿後面(大内転筋の浅層・大腿二頭筋長頭の深層部)を下行していきます。

そして、膝窩のやや上方で脛骨神経と総腓骨神経に分岐して終枝となります。

坐骨神経

梨状筋症候群の症状とは?

梨状筋症候群では絞扼部位以下の末梢神経が障害されますので、その障害は大腿から下腿部にかけて及びます。運動麻痺や感覚障害をきたすことは稀で、主な症状としては殿部痛や下肢痛といった坐骨神経痛になります。

坐骨神経痛とは坐骨神経の支配領域(殿部から下腿後面)にかけて出現する放散痛のことです。坐骨神経痛の代表的な原因疾患として、椎間板ヘルニア、腰椎分離すべり症、腰部脊柱管狭窄症、馬尾腫瘍があります。

中でも椎間板ヘルニアとの鑑別が重要になります(後述)。

中宿らは86例87肢中、殿部痛があるものは86肢、下肢痛があるものは60肢、腰痛があるものは30肢であったと報告しています。
中宿伸哉,2005

梨状筋症候群を呈する患者のほとんどに殿部痛があることが分かります。

梨状筋症候群の原因とは?

梨状筋症候群の原因には以下の3つが考えられると報告されています。

  • 仙腸関節由来
  • 椎間関節由来
  • 梨状筋単独

仙腸関節由来の梨状筋症候群

仙腸関節の前方はL4、L5、S1の脊髄神経前枝に支配されていて、後方はL5、S1、S2の脊髄神経後枝外側枝に支配されています。つまり、仙腸関節に侵害刺激が加わると、L5、S1、S2に支配される梨状筋や大腿方形筋、上・下双子筋に反射性攣縮が生じてしまいます。

また、それと同時に同神経に支配される多裂筋にも反射性攣縮が生じてしまいます。多裂筋は仙腸関節を安定化させているので、多裂筋の反射性攣縮によって仙腸関節は不安定になりやすく、侵害刺激に対する感受性が高くなってしまいます。

そのため、より梨状筋の反射サイクルを助長してしまうのです。

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梨状筋症候群の原因は仙腸関節由来がほとんどであるといわれています。

椎間関節由来の梨状筋症候群

椎間関節は脊髄神経後枝内側枝に支配されています。この脊髄神経後枝内側枝には第1枝、第2枝、第3枝があります。

第1枝は隣り合う椎間関節の関節包下部を支配します。第2枝は多裂筋を支配し、第3枝は1つ下の椎間関節の関節包上部を支配します。

この場合も L5/S1の椎間関節に侵害刺激が加わるとL5内側枝を経由して梨状筋をはじめとする股関節外旋筋群に反射性攣縮が生じます。

梨状筋単独の梨状筋症候群

仙腸関節障害や椎間関節障害がない場合、梨状筋が過用によって筋攣縮が生じたと考えられます。

梨状筋は「八方美人の筋肉」といわれていますので、股関節周囲筋が弱化している場合には梨状筋が過剰に活動してしまいます。そのため、梨状筋単独でも筋攣縮が生じてしまうのです。

梨状筋症候群の整形外科テストとは?

梨状筋症候群を疑う整形外科テストは以下の4つになります。

  • 下肢挙上テスト(SLR:Straight leg raising)
  • Bragard test(ブラガードテスト)
  • Patrick's test(パトリックテスト)Fabere(ファベーレテスト)
  • Bonnet test(ボンネットテスト)

下肢挙上テスト(SLR:Straight leg raising)

肢位  背臥位
方法  膝関節を完全伸展位にした状態で股関節を屈曲させていきます。
股関節を屈曲させていく角度は70°までで、それまでに下肢後面へ放散痛が出現すれば陽性とします。
陽性 腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛

Bragard test(ブラガードテスト)

肢位  背臥位
方法 SLRを強くした検査になります。先ほどのSLRと同様のやり方ですが、検査側足関節を背屈位に保持した状態で股関節を屈曲させていきます。70°までに下肢後面へ放散痛が出現すれば陽性とします。
陽性 腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛

Patrick’s test(パトリックテスト)

 肢位  背臥位
 方法 股関節、膝関節を屈曲させ、反対側の膝に踵を乗せた状態から股関節を伸展・外転・外旋させます(あぐらのような姿勢)。陽性の場合、痛みが腰や股関節に出現します。
これは特定の疾患を診る検査ではなくて、痛みの問題が仙腸関節なのか股関節なのかを
鑑別するために用います。また、腰椎椎間板ヘルニアなど腰の問題の場合には陰性になります。しかし、股関節の問題であれば痛みは出現しますので、椎間板ヘルニアと梨状筋症候群の鑑別に有用な検査です。
陽性 殿部の場合、仙腸関節性腰痛などの仙腸関節の問題
股関節の場合、股関節の問題

ちなみにパトリックテストとファベーレテストの方法は同じで名前が違うだけです。

パトリックテストの関節運動は

  • flexion(屈曲)
  • abduction(外転)
  • external rotation(外旋)
  • extension(伸展)

なので、それらの頭文字をとってFabere testともいわれているのです。

Bonnet test(ボンネットテスト)

 

肢位  背臥位
方法  検査側を膝立ての状態にして、そのまま股関節を内転・内旋させるように内側へ倒していきます。痛みが出現すれば陽性とします。
陽性 梨状筋症候群、坐骨神経痛

今日のリハゴリ俱楽部

  1. 梨状筋症候群は運動麻痺や感覚障害が生じるのは稀で、主な症状は殿部痛や下肢痛などの放散痛である。
  2. 梨状筋症候群の発症機転には仙腸関節由来、椎間関節由来、梨状筋単独の3つがある。
  3. 坐骨神経痛が梨状筋症候群由来なのか腰椎椎間板ヘルニア由来なのか鑑別するためにはパトリックテストが有用である。

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