ミルウォーキー・ブレースとは?その原理とチェックポイントは?

今回は脊柱側弯症の矯正装具であるミルウォーキー・ブレース(CTLSO)について記載していきたいと思います。

脊柱側弯症の矯正装具にはそのほかにボストン・ブレースもあります。

このボストン・ブレースはミルウォーキー・ブレースのように支柱がないことが特徴です。

ボストンブレース
ボストン・ブレースとは?その原理やチェックポイントとは?

脊柱側弯症とは?

脊柱側弯症とは、脊柱が側屈してしまう疾患のことで、その病態から以下の2種類に分けられます。

  • 機能性脊柱側弯症
  • 構築性脊柱側弯症

機能性脊柱側弯症とは、疼痛回避、脚長差、筋力不均衡などで一時的に側弯していますが、原因を改善すれば側弯が治癒するものをいいます。

構築性脊柱側弯症とは、椎体の回旋を伴った不可逆的な側弯のことです。特発性脊柱側弯症はこれに分類されます。

特発性脊柱側弯症
特発性脊柱側弯症とは?特徴的な姿勢や評価方法は?

ミルウォーキー・ブレースとは?

開発当初は術後の固定装具や術前の矯正装具として使用されていました。

しかし、このような使用法による症例が多くなるとともに中等度の特発性脊柱側弯症で骨成熟完成まで装着した後、数ヶ月は夜間のみの装着で脊柱が矯正される事実が知れ渡り、ミルウォーキー・ブレースは脊柱側弯症の非観血的治療法に有用な装具として用いられるようになりました。

「CTLSO」と「TLSO」
脊柱側弯装具に「CTLSO」や「TLSO」という略語が用いられますが、これらには明確な違いがあります。CTLSO の場合、cervico-thoraco-lumbo-sacral-orthosis の略で頸椎〜仙椎まで固定する装具という意味です。対して TLSO は thoraco-lumbo-sacral-orthosis の略で胸椎〜仙椎まで固定する装具という意味になります。つまり、頸椎を含めるか含めないかの違いになります。

ミルウォーキー・ブレースの原理とは?

ミルウォーキー・ブレースは3点支持の原理に基づいて作られています。

ミルウォーキー・ブレースは骨盤を固定する骨盤ガードルと頭部を固定するネックリング、側弯を矯正するための胸椎パッドで構成されています。

ミルウォーキー

このうち、胸椎パッドは側弯凸側から圧力(側圧)を加えて、そのカウンターに上部ではネックリング、下部では骨盤ガードルによる逆方向への圧力を加えて3点支持のもと矯正していきます。

ミルウォーキー

ミルウォーキー・ブレースの適応と禁忌とは?

これらから胸椎パッドによる側圧が側弯の矯正にとても重要であることがわかります。

この胸椎パッドによる側圧は肋骨を介して脊柱へ圧力を加えるので、脊柱と肋骨とのなす角度が小さければ、肋骨を介して脊柱へ伝達する圧力は小さくなったり、肋骨の変形をさらに助長してしまう恐れがあります。

ミルウォーキー

つまり、ミルウォーキー・ブレースは中等度かつ成長期の脊柱側弯症に対しては効果がありますが、重度(コブ角 45°以上)の場合には肋骨の変形を助長してしまう恐れがあるため、慎重に処方する必要があります。

ミルウォーキー・ブレースのチェックポイントとは?

今回のチェックアウト項目は大まかに以下の3つとします。

  • ネックリング
  • 胸椎パッド
  • 骨盤ガードル

ネックリングのチェックポイント

ネックリングのチェックアウトでは前方と後方の位置を確認していきます。

まず、ネックリングの後方には後頭パッドという後頭骨を受けるためのクッションがあります。

この後頭パッドのちょうど真ん中に後頭結節が位置するように左右対称に調節します。

後頭パッドは後頭結節下部にある後頭骨の斜め部分を支持しますので、後頭パッドをその角度に合うように調節することが重要です。

しかし、背臥位になったりするとずれることがよくあるので、患者や家族に指導しておくことが望ましいでしょう。

 

次にネックリングの前方にはのどパッドという下顎を支持するためのクッションがあります。

従来は下顎パッドというもので支持していたのですが、下顎発育不全や歯列への悪影響が危惧されたため、最近ではのどパッドのタイプが主流となっています。

のどパッドの位置ですが、後頭パッドをしっかりと合わせた状態で下顎下部に入って、のどへ接触しないできる限り近い位置に調節します。

下顎までの高さに関しては1横指程度が望ましいといわれていますが、慣れるまではもう少し広げてあげるのも良いでしょう。

そして、ネックリングの前方傾斜は 20°程度に調節します。

ミルウォーキー

胸椎パッドのチェックポイント

パッドの真ん中部分を頂椎より2椎体くらい下部の肋骨にあたるよう調節します。

前述したように胸椎パッドの側圧は肋骨を介して伝達されますが、側弯症患者では肋骨・脊柱角が鋭角になっているので、頂椎と同レベルの肋骨に圧力を加えると、より鋭角を助長してしまうことになってしまいます。

そのため、2椎体くらい下部の肋骨に圧力を加えるのが良いとされているのです。

骨盤ガードルのチェックポイント

骨盤ガードルはミルウォーキー・ブレースの基盤なので、腸骨稜上縁から包み込むように深く入り込むような形をしています。

骨盤ガードルは基盤なので、装着時にはまず骨盤ガードルのストラップを十分に強く締めてから行っていきます。

骨盤ガードルを強く締めると痛くなったりすることを恐れて緩くしてほしいと頼まれることが多々ありますが、緩く締めると骨盤帯が動きやすくなって余計に痛みを出現させやすくしてしまうことを理解してもらいます。

 

また、骨盤ガードルは腰椎前弯の軽減に重要な役目を果たしますので、腰椎前弯を軽減できるようチェックアウトしなければいけません。

そのためには前方支柱と腹部エプロンでしっかりと腹部を圧迫していること、殿部を深く包み込んでいることが重要になります。

深くとはいっても椅子から2cm 程度の高さまでとして、深く座っても鼠径部が衝突しないよう調節します。

今日のリハゴリ俱楽部

  1. ミルウォーキー・ブレースは脊柱側弯症の矯正に用いられる装具である。
  2. 胸椎パッドは肋骨を介して側圧を加えるので、中等度側弯までの適応となり重度側弯で装着すると肋骨の傾斜をより強めることになってしまう。
  3. 胸椎パッドのチェックアウトでは側弯の頂椎より2椎体下部の肋骨にあてるよう調節することが重要である。

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