左心不全の症状とは?メカニズムから症状を理解する

今回は前回に引き続き心不全について記載していきたいと思います。

心不全の原因と発症機序とは?

心不全の発症機序には前負荷と後負荷が関与しています。

詳しくは前回の記事をご参照ください。

心不全
心不全とは?どんな負荷が心不全を引き起こしてしまうの?

左心不全の症状とは?

心不全には様々な症状が出現します。また、心不全には右心不全と左心不全があり、それぞれ症状は区別して考えなければなりません。なので、たくさんある心不全の症状は右心不全症状と同様、しっかりと理解をして覚えていくことが重要になります。

右心不全症状についてはこちらを参考にしてください。

左心不全,症状,メカニズム
右心不全の症状とは?様々な症状が出現する理由とは?

左心不全の症状

  • 低血圧
  • チアノーゼ
  • 冷感
  • 呼吸困難感
  • 起座呼吸

低血圧を引き起こす理由とは?

左心不全とは左心室のポンプ機能が低下した状態のことですので、左心室に溜まった血液を大動脈へ送る力が弱くなっています。

血圧の計算式
心拍出量(1回拍出量 x 心拍数)x 末梢血管抵抗

この式から、心拍出量と末梢血管抵抗が血圧を決定していることがわかります。

左心不全に陥り、ポンプ機能が低下すると1回に拍出できる血液量、すなわち1回拍出量が低下しますので、心拍出量が低下するということになります。

つまり、左心不全にな陥ると心拍出量の低下によって血圧が低下するのです。

この場合、血圧を維持しようと心拍数を増加させて代償してきますが、心拍数増加が長期にわたれば心不全を増悪させる恐れがあるので注意が必要です。

チアノーゼが出現する理由とは?

チアノーゼとは唇、つめ、粘膜などが赤紫色を示す状態のことで、毛細血管の還元型ヘモグロビンが5g/dl以上になったときに出現します。

ヘモグロビンは毛細血管内に存在していて、肺胞周囲で酸素と結合したあと、全身を流れ、各組織で酸素を放出します。この酸素と結合したヘモグロビンを酸化型ヘモグロビンといい、酸素を放出したヘモグロビンのことを還元型ヘモグロビンといいます。酸化型ヘモグロビンは鮮紅色で還元型ヘモグロビンは赤紫色を示します。

ヘモグロビン

心不全による心拍出量の低下では勢いが弱いので末梢組織にまでなかなか酸素を運搬することができません。

そのため、末梢組織は酸素に飢えている状態なのです。そこに酸素と結合したヘモグロビンが運ばれてきたら、末梢組織は急速に酸素を消費しますので、還元型ヘモグロビンが増加してしまいます。

そして、赤紫色の還元型ヘモグロビンの増加により唇やつめなどが紫色にみえるチアノーゼが出現するのです。

チアノーゼ

末梢冷感が出現する理由とは?

末梢冷感とは、その名の通り手や足の先が冷たくなってしまう症状のことです。この末梢冷感も心不全が原因で起こることがあります。

低血圧の章で述べたように、左心不全では左心室のポンプ機能が低下するため、左心室に溜まった血液を大動脈へ送る力が弱くなっています。

つまり、低血圧を示しやすいのですが、ヒトには代償機構があるので低血圧をカバーしてくれるのです。その代償機構とは血管平滑筋の収縮を促して末梢血管抵抗を増大させることです。

血圧は「心拍出量 x 末梢血管抵抗」で表されますので、末梢血管抵抗が増大するということは血圧の上昇を意味します。

しかし、末梢の血管収縮を促して抵抗を増大させるということは、それ以降の血流が途絶えてしまうことを意味しています。そのため、四肢末梢への血流が乏しくなり、血流不足による冷感を来してしまうのです。

余談になりますが、代償機構とは「レニン-アンジオテンシン系」と呼ばれる血圧調節系です。

血圧が低下すると腎臓からレニンという物質を産生します。このレニンは肝臓から産生されるアンジオテンシノーゲンに作用してアンジオテンシンⅠを合成します。アンジオテンシンⅠは肺から産生されるアンジオテンシン変換酵素(ACE)によってアンジオテンシンⅡが合成されます。

このアンジオテンシンⅡが血管平滑筋を収縮させ血圧上昇に関与するのです。

レニンアンジオテンシン

呼吸困難感・起坐呼吸を来たす理由とは?

 

まず、左心不全において呼吸困難感を呈してしまうのは「肺水腫」を引き起こした場合になります。

肺水腫とは毛細血管から血液の液体成分が肺胞内へ滲み出した状態です。

左心不全により左室のポンプ機能が低下すると左心房から左心室に流入してきた血液(100%)を30%ほどしか大動脈へ拍出できなくなります。

すると、拍出できなかった血液が左心室に渋滞していき、さらに進行すると左心室容量を超えて左心房にまで渋滞していってしまいます。

そして、最終的には左心房から肺静脈へ血液が渋滞していくことで肺毛細血管から肺胞へ血液が漏れ出していきます。このことを「心原性肺水腫」といいます。

このように肺水腫にまで病状が悪化してしまうと呼吸困難感が出現してきます。

肺水腫

次に起座呼吸とは、寝ていると呼吸困難感が強く出現し、起き上がって座ると呼吸困難感が軽減するような現象のことをいいます。これは肺水腫が基盤にあることで生じる現象です。

臥床状態だと静脈から返ってくる血液量(静脈還流量)が増加します。静脈還流量が増加すると心臓へ流入してくる血液量ももちろん増大します。

すると、血液が渋滞している肺毛細血管にさらに血液が流入してきますので、肺水腫が増悪して呼吸困難感が強くなってしまうのです。一方で座るなどの抗重力肢位をとると静脈還流量は減少して、呼吸困難感が軽減するのです。

今日のリハゴリ俱楽部

  1. 左心不全では左室のポンプ機能が低下することで様々な症状が出現する。
  2. 血液を大動脈を介して全身へ供給することができないことで低血圧やチアノーゼ、末梢冷感などの症状を来す。
  3. 血液を大動脈を介して全身へ拍出することができないと左心室→左心房→肺毛細血管→肺とどんどん渋滞していき、最終的には肺水腫を引き起こして呼吸困難感や起坐呼吸などが生じる。

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