【試験対策】呼吸運動に必要な胸郭と胸腔の解剖学・生理学について

この記事では3学会合同呼吸療法認定士の出題範囲である「呼吸運動に必要な胸郭と胸腔の構造と解剖学」について分かりやすく解説しています。

記事の最後に復習として、過去問も用意していますので、ぜひ解いてみてください。

※過去問は「呼吸療法認定士予想問題集(通称:青本)」、「呼吸療法認定士再現過去問集」をもとに作成しています。これらの過去問は呼吸療法認定士認定試験を受験された方々からの意見・情報をもとに作成されたもので、同一問題が出題されるとは限りませんので、予めご了承ください。

胸郭とは?

胸郭は肋骨・肋軟骨、椎骨、胸骨から作られる骨性胸郭とそれらに付着する筋肉から成り立っています。

胸郭

胸郭の1つである肋骨の走行は胸郭上部では水平に近いですが、胸郭下部になるにつれて前下方へ傾斜していることも特徴的です。吸気時には呼吸筋の収縮により、脊椎肋骨関節を軸として肋骨が前上方へと回転するので、胸腔の水平断面積は大きくなります。

つまり、吸気時に前上方へと回転するときのスペースを確保しておきたいので、胸郭下部はあえて前下方へと傾斜している構造をとったのです。

胸腔とは?

胸郭と横隔膜によって作られる体腔のことを胸腔といいます。胸腔は身体の真ん中にある縦隔によって左右2つに分けられています。

縦隔とは?
前後を胸椎と胸骨に挟まれて、左右を肺に囲まれたスペースのこと。この縦隔には心臓、大血管、食道、気管・気管支など大切な臓器が占めている。

縦隔引用:光透波と体のスピリチュアル

左右の胸腔の内面は壁側胸膜で内張りされていて、その中には臓側胸膜(肺胸膜)に覆われた肺が収まっています。

胸膜

 

引用:GRAY’S Anatomy

臓側胸膜と壁側胸膜

臓側胸膜は肺を覆い、壁側胸膜は肋骨の内面を覆っています。この臓側胸膜と壁側胸膜とは肺門でお互いに交通していて、閉鎖された空間になっています。

この閉鎖された空間のことを「胸膜腔」といいます。

胸膜腔

胸膜腔には常に少量の胸水が溜まっていて、臓側胸膜と壁側胸膜間の摩擦抵抗を少なくしています。胸膜(臓側・壁側)は大量の胸水を作っていますが、それと同等量の胸水を吸収することで胸水量のバランスを保っています。

POINT
”大量”の胸水を産生していますが、”大量”に胸水は溜まっていません!”少量”の胸水が溜まっています。こんがらないようにしましょう!

胸腔内圧

胸腔内は常に陰圧なので、肺が虚脱することはありません。胸腔内圧は安静時吸気時で −4cmH2O から −8cmH2O 、呼気時では −2cmH2O から −4cmH2O といわれています。

しかし、声門を閉じて努力呼吸運動を行うと吸気時には−40cmH2O にまでも陰圧になり、呼気時には逆に+40cmH2O にまで陽圧となります。

POINT
安静時の呼気時でも胸腔内圧は陽圧にはなりません。努力的な呼気時のみ陽圧となることを覚えておきましょう!

過去に出題された問題

【問1】

解剖について正しいのはどれか。

 

  1. 肋骨の走行は胸郭上部では水平に近い。
  2. 胸郭は胸壁と横隔膜からなる。
  3. 胸腔は胸膜でできた閉鎖空間である。
  4. 壁側胸膜と肺胸膜は肺門にてお互いに移行している。
  5. 胸膜は常に大量の胸水を産生する。

 

a.①②③ b.②③④ c.③④⑤ d.①④⑤ e.すべて

(2010年出題)

 

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e.すべて

【問2】

胸郭を構築しているものに含まれないのはどれか。

 

  1. 肋骨
  2. 椎骨
  3. 胸骨
  4. 縦隔
  5. 外肋間筋

 

a.①② b.②③ c.③④ d.④⑤ e.①⑤

(2011年出題)

 

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d.④⑤

【問3】

臓側胸膜が被っているのはどれか。

 

  1. 心臓
  2. 横隔膜
  3. 肋骨
  4. 肝臓

(2006年出題)

 

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【問4】

胸腔について誤っているのはどれか。

 

  1. 横隔膜には臓側胸膜が接する。
  2. 臓側胸膜と壁側胸膜は肺門で移行している。
  3. 胸水は壁側胸膜と臓側胸膜の間に存在している。
  4. 胸水のバランスは産生と吸収が大切。

(2013・2014年出題)

 

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【問5】

正しいものはどれか。

 

  1. 声門を閉じた努力吸気では−40cmH2O、努力呼気時では40cmH2Oにも達する。
  2. 壁側胸膜と臓側胸膜とは胸水を挟んで接している。
  3. 胸腔内圧は安静吸気時で−4cmH2Oから−8cmH2Oである。
  4. 通常、胸腔内圧は呼気時陽圧となる。
  5. 胸膜は常に少量の胸水を産生している。

 

a.①②③ b.①②⑤ c.①④⑤ d.②③④ e.③④⑤

(2005・2008・2010・2011・2014年出題)

 

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a.①②③

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